キオクシアは、容量が5Tバイトで帯域が64Gバイト/秒の「フラッシュメモリモジュール」を試作した。ポスト5G/6G(第5/6世代移動通信)MEC(モバイルエッジコンピューティング)サーバなどの用途に向ける。
キオクシアは2025年8月、容量が5Tバイトで帯域が64Gバイト/秒の「フラッシュメモリモジュール」を試作したと発表した。ポスト5G/6G用のMEC(モバイルエッジコンピューティング)サーバなどの用途に向ける。
試作したフラッシュメモリモジュールは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が取り組む「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」の研究テーマに基づき開発した。近年はエッジ側で、ビッグデータ解析や生成AI処理などへの対応が求められている。このため、MECサーバの性能向上に加え、メモリモジュールのさらなる大容量化と広帯域化に対する要求が高まっていた。
大容量で広帯域のフラッシュメモリモジュールを実現するため、キオクシアはいくつかの技術を開発し採用した。例えば、デイジーチェーン接続である。コントローラを介し複数のフラッシュメモリを数珠つなぎに接続した。これにより、接続するフラッシュメモリの数を増やしても帯域が劣化しないという。
メモリコントローラ間のデイジーチェーン接続には、差動信号による高速シリアル通信を適用。また、広帯域化するために多値変調方式の「PAM4」を採用した。これにより、メモリコントローラ間において128Gビット/秒の高速通信を低電力で実現できるという。
さらに、モジュールに搭載したフラッシュメモリの読み出し遅延を改善するため、「フラッシュプリフェッチ技術」を開発し、コントローラに内蔵した。メモリコントローラとフラッシュメモリをつなぐインタフェースには、信号低振幅化とゆがみ補正・制御技術を適用した。これにより、帯域を4.0Gビット/秒に高速化した。
サーバとのホストインタフェースにはPCIe 6.0(64Gビット/秒、8レーン)を採用することで、容量が5Tバイト、帯域が64Gバイト/秒のメモリモジュールを、消費電力40W以下で実現できることを実証した。
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