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「業界初」MIPI A-PHY内蔵の車載イメージセンサー、ソニーが開発小型、低消費電力、低コスト実現(1/2 ページ)

ソニーセミコンダクタソリューションズが、「業界で初めて」(同社)MIPI A-PHYインタフェースを内蔵したCMOSイメージセンサーを開発した。さらに低消費電力な独自の駐車監視機能も搭載した。

» 2025年10月28日 00時00分 公開
[永山準EE Times Japan]

 ソニーセミコンダクタソリューションズ(以下、SSS)は2025年10月28日、「業界で初めて」(同社)車載向けの高速伝送規格であるMIPI A-PHY(以下、A-PHY)インタフェースを内蔵した有効800万画素のCMOSイメージセンサー「IMX828」を発表した。さらに最大150dBのダイナミックレンジを実現したほか、低消費電力な独自の駐車監視機能なども搭載。「次世代の車載カメラに求められる技術革新に貢献していく」としている。今回、同社車載事業部の内山広樹氏に詳細を聞いた。

IMX828 IMX828 出所:ソニーセミコンダクタソリューションズ

外付けシリアライザーが不要に

 IMX828は、先進運転システム(ADAS)など向けに、有効約800万画素の高解像度と「業界最高水準」(同社)の高ダイナミックレンジ(HDR)特性を備えたイメージセンサーだ。

 車載カメラシステムでは、カメラとECU間の通信で高帯域/低遅延/高信頼性の要求が高まっていて、その対応のため複数の高速伝送インタフェース規格が存在している。従来の車載イメージセンサーでは高速伝送インタフェースに対応するためには外付けのシリアライザーチップが必要だったが、同社は今回、センサーに内蔵した。これによってカメラシステムの小型化や低消費電力化および熱設計最適化を実現できるという。

 業界ではA-PHYや欧州自動車メーカーが推奨するASA-ML、中国系企業が推進するHSMT、車載イーサネット規格IEEE 802.3dm、さらにGMSLをオープン化したOpen GMSLなど、複数の高速伝送インタフェース規格について標準化/普及が進んでいる。SSSは今回、まずは比較的に市場の成熟度が高いMIPI A-PHYをセンサーに内蔵した。

 MIPI A-PHYは業界団体のMIPI Allianceによって策定された車載向けの長距離/高信頼性通信に最適化されたインタフェース規格。15mのケーブル長に対応可能で、カメラとECU間で下りは8Gビット/秒(PAM4方式)、上りは100Mビット/秒(NRZ)といった高速伝送ができる。

 IMX828では既存のMIPI D-PHY(以下、D-PHY)に加え、オプションとしてA-PHYを搭載。ディスクリートのシリアライザーチップおよびそのペリフェラルが不要になることから、部品表(BOM)コストを「数米ドル分低減できる」他、基板サイズも20%程度削減可能だという。さらに部品が減ることで消費電力および発熱も低減できる。なおデシリアライザーについても「A-PHY準拠ならばメーカーを問わない。顧客は幅広くA-PHYのシステムを採用できる」としている。

 また、SSS独自のエラー対策回路も搭載した。内山氏は「エラーが発生し再送要求が来てからタイムラグなく再送できるよう回路を最適化した。これによって既存のシリアライザーチップよりもエラーの発生率を低く抑えることが可能になった」と説明している。

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