今回はApple「iPhone 17」シリーズを分解する。主要チップはほとんどApple製を使用している。過去3世代の「Pro」プロセッサを比較した結果なども報告する。
前回報告の最後に次回は2025年の最新ドローンについて報告すると言ったが、今回は急遽内容をApple新製品に切り替えた。ドローンについては次回以降、あらためて報告する。2025年後半には最先端プロセッサを搭載したスマートフォンが続々と発売されている。筆頭は、今回報告するApple「iPhone 17」シリーズだ。TSMCの第3世代となる3nm世代プロセスの「N3P」で製造されている。N3Pは高速化されたプロセスだ。N3Pは後半で報告するように、シリコン面積と動作周波数の向上の両面で、大きな効果を生み出している。
今回は報告対象ではないが、Apple以外の大手メーカーも2025年後半に3nm適用の最新プロセッサを発売している。全てがTSMC製というわけではなく、2025年7月に販売開始になったSamsung Electronicsの折り畳みスマートフォン「Galaxy Z Flip7」には、Samsungの3nmで製造されるSamsungオリジナル設計の「Exynos 2500」が搭載されている。また2025年10月には、Qualcommの最新プロセッサ「Snapdragon 8 Elite Gen 5」が「Xiaomi 17」に、MediaTekの「Dimensity 9500」が「vivo X300」に搭載され、大々的に発売されている。Qualcomm、MediaTekともに最新チップはN3P適用だ。Exynos 2500、Snapdragon 8 Elite Gen 5、Dimensity 9500は全て入手済みで現在開封解析を行っており、年末あたりに本報告で取り上げたい。
図1は2025年9月19日に発売されたAppleのスリムスマホ(薄型5.6mm)「iPhone 17 Air」の様子である。かねてAppleが薄型iPhoneを開発しているとか、2026年には折り畳みiPhoneが登場するなどのウワサや情報が流れていたが、実製品として薄型iPhoneが生まれたわけだ。
2020年以降、多くのメーカーが折り畳みスマートフォンを続々と製品化している。折り畳み式は開いたときに、本体が薄いことが特徴だ。折り畳み式スマホの登場によって薄く作ることが新たな技術課題、競争軸となっている。5.6mmの薄さをiPhone 17 Airで実現するためにAppleが行った工夫は各所で報道されているので、本報告ではあまり言及しないが、図1右のように内部面積の6割くらいがバッテリーになっている。折り畳み式の場合は一方にカメラ、プロセッサ、もう一方に電池と割り振ることができるが、薄型の場合は両方を1カ所に埋め込まねばならない。TAPTIC Vibratorを従来よりも小型化し、ステレオスピーカーをモノラルにするなど、内部機能の面積を一部削減した上でiPhone 17 Airはできている。
図2は、iPhone 17 Air内部の主要チップの様子である。メイン基板は一部が2層構造になっている。メイン基板にはプロセッサ、通信など多くの機能チップが並んでいる。図2左から、Appleの最新プロセッサ「A19 Pro」、Apple製のWi-Fi 7 + Bluetooth 6.0の「N1」チップ、基板裏面には2025年2月に発売された「iPhone 16e」で搭載が始まったApple製の5Gモデム「C1」のチップセットが並んでいる。プロセッサと通信は全てApple製だ。ここには掲載していないが、プロセッサ用の電源IC、モデム用の電源ICも全てApple製。通信ではUltra WidebandもApple製となっている。iPhone 17 Airの内部は“Appleチップの展示会場”のようだ(上記以外にもApple監修チップは多数搭載されている)
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