旭化成エレクトロニクス(AKM)は2025年12月24日、同社が所有する宮崎県延岡市のLSI製造工場施設(以下、延岡工場)を、旭有機材に譲渡することを発表した。2020年の火災以降、生産停止していた施設で、旭有機材は新たな生産拠点として整備し、半導体製造装置向け小型精密バルブ「Dymatrix」の生産などに使用する。
旭化成エレクトロニクス(AKM)は2025年12月24日、同社が所有する宮崎県延岡市のLSI製造工場施設(以下、延岡工場)を、旭有機材に譲渡することを発表した。
AKMの延岡工場は、2020年10月20日に発生した火災で大きな被害を受けてから生産を停止していた。開発拠点としての利用、旭化成グループでのLSI以外の製造拠点としての利用、他社への譲渡など、幅広く活用の可能性を検討してきたが、結果として旭有機材への譲渡が決定したという。
両社はすでに譲渡契約を結んでいて、2026年2月2日の譲渡を予定する。AKMは「本件による製品供給への影響はない」としている。なお、譲渡対象は延岡工場および付帯施設で、土地は旭化成が所有するため、対象には含まれない。
旭有機材は、管財システム事業や樹脂事業、水処理・資源開発事業を手掛ける旭化成の関係会社だ。同社グループは中期経営計画「GNT2025」において、海外及び半導体関連市場を中心に成長を追求することを掲げている。その一環として、主力生産拠点である延岡製造所の次世代化を検討してきたという。
今回、AI向け需要の高まりを背景にした半導体製造装置市場の拡大に対応するため、AKM延岡工場を譲り受け、新たな生産拠点として整備することを決定した。これによって、生産能力は約3倍に増強される見通しだとする。
新拠点は主に、半導体製造装置向け小型精密バルブ「Dymatrix」、流量制御機器「FALCONICS」の生産に使用。2026年12月に着工、2028年10月に完成する見込みだ。旭有機材は「本工場建設が当期(2026年度3月期 第3四半期)の業績に与える影響はない」としている。
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