DRAMとNAND型フラッシュメモリの供給不足に続いて、もう1つのメモリ分野であるNORフラッシュメモリでも供給危機が発生しつつあり、値上げの可能性も報じられている。一方でAIアプリケーションがかつてない高密度を要求することから、3D構造化への期待も高まっている。
DRAMとNAND型フラッシュメモリの供給不足に続いて、もう1つのメモリ分野であるNORフラッシュメモリでも供給危機が発生しつつある。その大きな要因となっているのもまた、AIだ。AIサーバラック1台当たりのNORデバイスの数はかつて3〜5個程度だったが、今や30個超にまで増加している。
台湾のCommercial Timesが報じたところによると、NVIDIAの「GB200 NVL72」では、ラック当たりのNORフラッシュの搭載額は既に600米ドルを超え、今後2年以内には900米ドルに達する可能性があるという。このような急増の結果、組み込みアプリケーションとAIサーバとの間で、NORフラッシュの生産能力確保を巡る競争が激化している。
NORフラッシュは、要件の厳しいXIP(Execute-In-Place)アプリケーションにおいて高速ランダムアクセスを提供し、極端な温度下でも高い信頼性/機能性を実現する。このため、自動車やクラウドコンピューティング、産業システムなど、コードストレージが非常に重要なアプリケーション向けの必需品となっている。また、NORフラッシュは書き換え耐性も高いことから、複数回のアップデートが行われるOTA(Over-The-Air)プログラムのようなアプリケーションにも最適だ。
台湾のEconomic Daily Newsによると、台湾の新竹に拠点を置く世界最大のNORフラッシュメーカーであるMacronixは2026年第1四半期に、同社のNORフラッシュチップを30%値上げする可能性があるという。この値上げはまだ実施されていないが、報道によるとMacronixは一部のNORフラッシュ生産能力を縮小し、MLC(Multi Level Cell) NANDの生産を増加させているという。
NORフラッシュ業界に差し迫っている供給危機について理解するには、NORフラッシュがAIシステムの中でどのように利用されているのかを知ることが重要だ。また、NORフラッシュの生産能力確保を巡って、AIアプリケーションと自動車やコンシューマー製品、産業機器、IoTなどの他の分野との間でどのような競争が繰り広げられているかという点も理解しなければならない。
NORフラッシュは、AIシステムの中でどの位置付けにあるのだろうか。ネットワークインタフェースカード(NIC)やコントローラー、アクセラレーターボードなどをはじめとするAIデータセンター向け部品は、NORの安定した機能によるメリットを享受している。それは例えば、誤り訂正符号(ECC)や、巡回冗長検査(CRC)、連続読み出しのサポートのほか、現代のキャッシングアーキテクチャに適したラップベースのデータパターンといったものだ。
NORフラッシュは、ファームウェアやブートコード、システム初期化などに向けた高信頼性かつ低レイテンシのストレージソリューションとして、AIサーバやデータセンターでの採用が増加している。また、グラフィックス主導のソリューションとも十分に統合可能なので、コードストレージや他のAI駆動型のワークロードに最適だ。
NORフラッシュは、AIサーバ/HPCシステムのセーフブートや初期化プロセス向けとして非常に重要である。また、ファームウェアや基本的な命令に対し、高速かつ高信頼性のアクセスを提供する。さらに、広帯域メモリ(HBM)の要素として、AIプロセッサと組み合わせたHBMデバイスの各DRAM層に必要な、独立した電源管理と初期化を提供する。
エッジAIでは、NORフラッシュは、データ統合が重要とされるAI対応IoTや自動車、産業デバイスにおいて、OSやコードを保存する上で不可欠だ。実際、多くのエッジSoC(System on Chip)は、確定的な読み出しレイテンシを提供するため、モデルストレージ向けにNORが組み込まれている。また、多くのエッジAIモジュールは、推論ワークロード向けに、NORフラッシュから直接ニューラルネットワーク重みをストリーミングする。
またAIの台頭によって、2次元(2D) NORフラッシュの限界が露呈している。AIアプリケーションは依然としてNORの高信頼性を必要としながら、かつてないほどの高密度を要求するからだ。既存の2D NORフラッシュは多くのAIアプリケーションにおいて有効だが、プレーナ型アーキテクチャなので、より高密度かつ低レイテンシのメモリソリューションの実現に向けた拡張性は限られる。よって、物理的/性能的限界に近づきつつある。
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