メディア

新たなプロセス開発でエッチング速度を5倍向上、名古屋大らウエハーを冷却しHFプラズマ使用

名古屋大学の研究グループと東京エレクトロン宮城は、ウエハーを冷却しフッ化水素(HF)プラズマを用いる反応性イオンエッチング(RIE)プロセスのメカニズムを明らかにした。SiO2(二酸化ケイ素)膜のエッチング速度を従来プロセスに比べ5倍も向上させた。エッチングガスにHFを用いるため環境負荷も低減できるという。

» 2026年01月14日 10時30分 公開
[馬本隆綱EE Times Japan]

イオン強化表面自己触媒反応により、エッチング反応が加速

 名古屋大学低温プラズマ科学研究センターのシャオ シーナン特任教授および堀勝特任教授らの研究グループと東京エレクトロン宮城は2026年1月、ウエハーを冷却しフッ化水素(HF)プラズマを用いる反応性イオンエッチング(RIE)プロセスのメカニズムを明らかにしたと発表した。SiO2(二酸化ケイ素)膜のエッチング速度を従来プロセスに比べ5倍も向上させた。エッチングガスにHFを用いるため環境負荷も低減できるという。

 GAA(Gate-All-Around)トランジスタや3D NANDフラッシュメモリのように、微細で複雑な構造のデバイス製造において、これまでのRIE技術だとエッチング速度が大きく低下するという課題があった。そこで今回は、ウエハーを冷却しHFプラズマを用いる新たなプロセスを提案した。

 基板温度を−60℃などの低温に保つと、エッチングガスのHFと、反応生成物である水(H2O)がSiO2表面に吸着した。このH2Oが触媒となって、SiO2のエッチング活性化エネルギーをほぼ「ゼロ」にすることが分かった。

 さらに、イオン照射エネルギー(バイアス電圧)を大きくすると、H2Oの量が増え、これが表面に吸着しHFを引き付ける「自己触媒サイクル」が加速される。こうした「イオン強化表面自己触媒反応」によって、エッチング反応が飛躍的に加速されることから、従来技術に比べ超高速で高スループットなエッチングが可能となった。

 研究グループは、「新たなプロセスにより、SiO2膜のエッチングスループットは、従来の室温または低イオンエネルギー条件と比べ約100倍に向上することを実証した」という。

疑似ウェットHFプラズマエッチングモデルにおけるイオン強化表面自己触媒反応の概略図[クリックで拡大] 出所:名古屋大学
バイアス電圧とエッチング速度の関係(基板温度が20℃と−60℃の比較)[クリックで拡大] 出所:名古屋大学

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

特別協賛PR

RSSフィード

公式SNS

All material on this site Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
This site contains articles under license from AspenCore LLC.