三菱マテリアルは、世界最大規模のE-Scrap(家電などから回収される廃基板)集荷量を有し、回収から製品まで一貫した資源循環モデルを持った国内唯一の企業だという。NTTサーキュラストにおいて、同社は再資源化および再生材の製造/供給を担うとともに、再生材のデータや知見を循環プロセスに活用することで情報の信頼性確保、事業の強化に貢献する。
三菱マテリアル執行役常務の井上達也氏は「世界的な銅原料の確保競争の激化や地政学的リスクの高まりによって、資源調達を巡る環境は厳しさを増している。一方で電子機器の普及に伴い、E-Scrapは年々増加している。三菱マテリアルは、この環境変化を新たな成長機会と捉え、資源循環ビジネスへの転換を進めている」と述べる。
また三菱マテリアルは2026年1月から、リサイクル金属ブランド「REMINE」の新シリーズとして、ISO準拠のマスバランス電気銅の供給サービスを開始している。マスバランス方式は、特定の特性を持つ材料と持たない材料を混合して製品を作った際、特性を持った材料の割合に応じて、製品の一部にも同じ特性を付与できる仕組みだ。例えばリサイクル材という特性を持つ銅30%、非リサイクル銅70%を混ぜて製品を作った場合、材料自体は溶け合っていて製品ごとの正確なリサイクル率は算出できない。しかし同方式なら、製品全体のうち30%を「リサイクル銅100%の製品」として扱うことができる。
同製品はISO準拠に加え、第三者機関の検証を受けることで高い信頼性を確保していて、こうした仕組みを整備していることが三菱マテリアルの強みだという。井上氏は「NTTの情報流通基盤と組み合わせ、再生材の信頼性が高い状態でサプライチェーン全体に伝達したい」とした。
NTTサーキュラストの代表取締役社長に就任予定の宮崎敬樹氏は「資源循環はすでに行われているが、再生材の情報は十分に伝達されていない」と述べる。「再生材の由来や環境負荷などの特性情報を正しく把握できれば、排出企業側は環境貢献度合いが見えるようになり、製品メーカー側は製品情報として正しく訴求できる。新会社ではモノの流れと情報の流れをつなぎ、再生材の価値が正しく評価される仕組みを提供する」と続けた。
再生材の回収および製造/販売事業も、排出当事者として自ら参加しながら、顧客に選ばれる再生材市場づくりを行うとする。回収した資源のデータ消去、解体、精錬など製造工程は事業者に委託する計画で「資源を自社で所有したまま委託で製造することにより、再生材の特性情報が把握できる」(宮崎氏)という。
NTTサーキュラスト取締役に就任予定の古賀沙織氏も「例えば使用済みノートPCがリサイクル体制の整っていない国や地域に輸出された場合、子供たちが解体している可能性や、価値のある金属だけが取り出され、残りは投棄されている可能性などがある。電子ごみ(E-waste)は環境、人権の両面で世界的な課題になっている」とする。
「NTTサーキュラストは、使用済み機器の回収から分解、再生、再利用までバリューチェーン全体に携わる。同時に機器がどうなったのか、情報を信頼できるかたちで提供する。E-wasteがもたらす社会課題の解決と、持続可能な事業の両立に挑戦する」(古賀氏)
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