Qualinxはもともと主権的なフローを模索していたわけではない。Trill氏は「GFの技術を利用することを決断したのは、コロナ禍よりも前だ。コロナ禍のサプライチェーンの混乱によってレジリエンスや主権が欧州の政策アジェンダの最優先事項として掲げられるよりも前に、既に協業を決めていた」と述べる。
「QualinxにとってGFが適していた理由は技術面にある。Qualinxは、20MHz〜8GHz程度の信号を受信可能なデジタルRFプラットフォームを開発している。最初の製品はIoTやGNSSを対象としたもので、アナログフロントエンドやフルGNSS SoCなどが含まれる。同社は、アナログRF機能の多くをCMOSでデジタル化している」(Trill氏)
Trill氏は「われわれは基本的に、アナログRFの90%をCMOSプロセスでデジタル化している。つまり、RFを再びムーアの法則に乗せようとしているのだ」と述べる。
この点で、GFのプラットフォーム「22FDX」が、Qualinxのロードマップにとって非常に重要なものとなっている。Trill氏は「競合メーカー各社は、RF製品が微細化の限界に達しつつあり、ダイサイズやコスト、デジタル機能などのトレードオフを余儀なくされている。Qualinxは今後複数世代にわたってCMOSスケーリングによる利益を享受できる見込みだ」と述べている。
GNSSは、安全保障上の意味合いからも、今回の取り組みの最初の事例として適している。GNSSチップは位置情報を提供するだけでなく、クリティカルシステムが依存するポジショニングや速度、タイミングデータなどを提供するのだ。
Trill氏は、GNSSの規模と戦略的重要性を示す一例として、Galileoを挙げる。「欧州の衛星コンステレーションGalileoは、32基の運用衛星から、2025年には41億件の接続を記録した。サービスには、認証、高精度測位、緊急時対応機能などが含まれる」と述べている。
「Qualinxの顧客には『欧州で設計、安全性を確保し、世界中で利用可能だ』というメッセージを伝えたい」(Trill氏)
GFにとっては、これは単なる地理的な話ではない。Horstmann氏は「22FDXは、低消費電力や、強力なRF/ミリ波性能、放射線耐性、電磁パルス耐性などを提供するため、Qualinxのアプリケーションには最適だ」と述べる。
これは、欧州の半導体戦略におけるさまざまな課題を提示している。主権については、最先端ロジックの視点を通して議論される場合が多いが、セキュリティが重要とされる多くのアプリケーションには、最先端のノードであることよりも、信頼性ある供給や低消費電力、RF性能、長い製品寿命、信頼性などが必要だ。
このセキュアフローでは、データやマスク、アクセス権の管理、システム分離などに関する制御を追加している。またGFは、セキュアフロー向けに使われているサーバを、一般的な商用フロー向けから分離している。同社は現在も、一部の手順を手動で行っているが、この先2年間でセキュアなテープアウトプロセスの自動化をさらに進めていく考えだという。
こうした取り組みには、欧州の通信事業者であるDeutsche Telekomも携わっている。Horstmann氏は「GFがDeutsche Telekomを迎え入れたのは、自社システムが制限付きデータや機密指定データの取り扱いに適しているかを評価し、課題を特定するためだ」と述べる。
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