九州大学は、電子回路を備えた薄膜電子デバイス自身が変形し、別のデバイスと接続したり切り離したりできる「機械・電気一体型ドッキング機構」を開発した。この技術を応用すれば、用途に応じて形や機能を柔軟に変えられる電子システムを実現できる可能性が高い。
九州大学大学院システム情報科学研究院の佐々文洋准教授、大学院システム情報科学府修士課程の内間駿介氏(現在はキオクシア)らによる研究グループは2026年7月、電子回路を備えた薄膜電子デバイス自身が変形し、別のデバイスと接続したり切り離したりできる「機械・電気一体型ドッキング機構」を開発したと発表した。この技術を応用すれば、用途に応じて形や機能を柔軟に変えられる電子システムを実現できる可能性が高い。
研究グループはこれまで、薄いフィルム上に動く構造と電気回路を一体化する技術「Kinetic Electronics」を開発してきた。ただ、これまで開発してきた薄膜電子デバイスは、一体型のため別の薄膜モジュールを後で接続することなどはできなかった。そこで今回、薄膜電子デバイスの追加や、故障した部分の交換などを比較的容易に行うための新たな仕組みを開発した。
今回開発したのは薄膜電子デバイス同士を接続するために必要な2種類のドッキング機構である。その1つは、1枚の薄膜電子デバイスの中で、フックとループのような構造にして、これらが絡み合う機構である。通電すると薄膜が曲がってフック部分がループ部分に引っ掛かり、機械的な接続と電気的な通電が可能となる。電気を切っても接続状態は維持される。
もう1つは、2つの薄膜モジュールを接続する機構。片方のモジュールに設けた3本のフィンガーを、もう一方のモジュールに設けた穴に入れる。これによって、相手側のモジュールを持ち上げて保持できるという。試作品に通電し、接続されたモジュールが動作することを確認した。
実験により、開発した機構が5〜12Vで動作することを実証した。フックとループを用いた機構では、接続時に約10mm変形した。2つの薄膜モジュールを接続する機構は、平均0.43Wで動作し、保持力は最大618mgf(6.1mN)であった。
研究グループは今後、接続機構の小型化や安定化に取り組むとともに、薄膜ロボットやウェアラブルデバイス、医療・バイオ計測デバイスなどへの応用に期待する。将来的には電子デバイスが生き物のように機能を組み替えながら動く、柔軟な電子システムの実現につながるとみている。
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