名古屋大学らによるASPIRE(先端国際共同研究推進事業)国際共同研究グループは、薄膜p型窒化ガリウム(p型GaN)表面の平たんさを維持しつつ、低抵抗のオーミック接触を形成する技術を開発した。LEDやp型GaNゲートHEMT、HBTなど、薄膜p型GaN層を用いる電子・光デバイスへの応用に期待する。
名古屋大学未来材料・システム研究所の王海涛研究員や王嘉特任助教、天野浩教授らによるASPIRE(先端国際共同研究推進事業)国際共同研究グループは2026年8月、薄膜p型窒化ガリウム(p型GaN)表面の平たん性を維持しつつ、低抵抗のオーミック接触を形成する技術を開発したと発表した。LEDやp型GaNゲートHEMT、HBTなど、薄膜p型GaN層を用いる電子・光デバイスへの応用に期待する。
ワイドバンドギャップ半導体のGaNは、光デバイスやパワーデバイス、高周波デバイスなどに利用されている。これらのデバイスで動作電圧の低減や効率を高めるには、p型GaNと金属電極との間に抵抗が小さいオーミック接触を形成する必要があるという。
これを実現するには、薄膜p型GaNの表面近傍に極めて浅い高濃度マグネシウム(Mg)ドーピング層を形成し、界面に形成されやすい空乏層の幅を狭める必要がある。また、電極形成前に行うプラズマ加工によって薄膜p型GaN層表面が損傷し、接触抵抗が増加するなどの課題もあり、表面平たん性と高い結晶品質の維持を両立させることが極めて難しかったという。
研究グループは今回、RFスパッタ法を用い厚みが8〜9nmの金属Mg膜を形成し、キャップ層を設けずに600℃で5分間のソフトアニールを行った。Mgの供給量と熱処理量を抑えることで、p型GaN表面の平たん性を保ちつつ、表面近傍に高濃度Mgドーピング層を形成することに成功した。
Mg濃度は表面近傍で約1×1021cm-3となり、深さ約10nm以内で急激に低下した。また、熱処理前の薄膜Mgがp型GaN表面上へ連続的に形成されていることを確認した。従来の厚膜Mgアニールでみられるような反応生成結晶相は観察できなかった。
さらに、価電子帯上端の位置が2.2eVから1.3eVへ移動した。これは、ソフトアニールによってp型GaN表面近傍のバンド曲がりが変化し、金属/p型GaN界面における正孔注入障壁が低下したことを示すものだという。
形成されたMgドーピング層により、金属/p型GaN界面のバンド曲がりと空乏層幅が制御され、プラズマ加工による表面損傷の有無に関わらず、比接触抵抗はゼロバイアスにおいて(1〜3)×10-4Ω・cm2という低い値が得られた。
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