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高効率EUV光発生法で露光装置の消費電力を低減マルチレーザー照射法を適用

理化学研究所(理研)と宇都宮大学らによる国際共同研究グループは、波長2μmの固体レーザーとマルチレーザー照射法を組み合わせることで極端紫外線(EUV)光変換効率を40%も高めることに成功し、その有用性を実証した。EUV露光装置の省電力化につながるとみている。

» 2026年08月27日 13時30分 公開
[馬本隆綱EE Times Japan]

複数のレーザーを同時に使用し、EUV光変換効率を向上

 理化学研究所(理研)光量子工学研究センター未踏レーザー科学研究チームの高橋栄治チームディレクターと宇都宮大学工学部基盤工学科の東口武史教授らによる国際共同研究グループは2026年8月、波長2μmの固体レーザーとマルチレーザー照射法を組み合わせることで、極端紫外線(EUV)光変換効率を40%も高めることに成功し、その有用性を実証した。EUV露光装置の省電力化につながるとみている。

 最先端の半導体デバイスは現在、波長13.5nmのEUV光を用いたEUV露光装置を使って製造されている。このEUV光源には現在、波長10.6μmの炭酸ガスレーザーを用いスズ(Sn)プラズマを生成する方式が採用されている。ところが、こうしたEUV露光装置は1台当たりの消費電力が1MWに達していて、製造コストや環境負荷の面で課題となっている。

 こうした中で注目されているのが、従来の炭酸ガスレーザーを、比較的低出力の波長2μm固体レーザーに置き換える方法である。そこで研究グループは、複数の2μm固体レーザーを同時に照射しSnプラズマを生成することで、レーザーからEUV光への変換効率を高める方法を試みた。

 今回は、2μm固定レーザーを用いたEUV光発生に、高橋氏らが開発した「マルチレーザー照射法」を適用した。これにより、EUV光変換効率を2.6%から3.6%へ、約40%向上させることに成功した。1本当たりのレーザーエネルギーを低減させつつ、複数のレーザーをEUV光発生に同時利用することで、高いEUV光変換効率が維持できることを実証した。

実験装置図[クリックで拡大] 出所:理研

 実験では、単一レーザー照射条件において、EUV光変換効率が最大となるレーザー強度を調べた。そして、約1.6×1011W/cm2のレーザー集光条件において、2.6%の最大変換効率が得られることを確認した。

レーザー強度とEUV光変換効率および、スペクトル純度の関係[クリックで拡大] 出所:理研

 次に単一レーザー照射条件を基準に、複数レーザー照射下におけるEUV光発生特性を調べた。総レーザーエネルギー40mJを2本のレーザーに分岐し、各レーザー強度を最適値に保ちながら、Sn平板ターゲットに同時照射した。この結果、EUV光変換効率はSn平板ターゲットを用いた2μm固体レーザーEUV光源として最高レベルの3.6%に向上した。

 さらに、EUV光のエネルギーを測定したところ、レーザーで加熱されるプラズマ領域が広がることで、プラズマの冷却が抑えられ、EUV光が多く放射されることが分かった。

2本のレーザービーム照射でエネルギーメーターに記録されたEUV発光信号[クリックで拡大] 出所:理研

 EUVピンホールカメラによる観測では、EUV光源サイズは単一レーザー照射時と複数レーザー照射時のいずれも約60〜70μmとなった。つまり、複数レーザーを照射しても光源サイズに変化はなく、EUV光変換効率のみを向上させることができることを実証した。

総照射レーザーエネルギー40mJでレーザービーム数を変化させたEUV光の発生部[クリックで拡大] 出所:理研

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