東京理科大学と産業技術総合研究所の研究グループは、大阪大学や理化学研究所らの研究グループと共同で、無配向カーボンナノチューブ(CNT)膜に対して、偏光制御された超短パルスレーザーを照射し、特定の向きに並んだCNT構造を局所的に形成する技術を新たに開発した。
東京理科大学と産業技術総合研究所の研究グループは2026年8月、大阪大学や理化学研究所らの研究グループと共同で、無配向カーボンナノチューブ(CNT)膜に対して、偏光制御された超短パルスレーザーを照射し、特定の向きに並んだCNT構造を局所的に形成する技術を新たに開発したと発表した。「テラヘルツ偏光イメージセンサー」や「高速・低消費電力ロジックデバイス」などへの応用に期待する。
CNTは、次世代のデバイス材料として注目されている。ただ、トランジスタやセンサーなどに応用するには、CNTの配向方向を厳密に制御する必要がある。ところが、これまで開発されてきた配向制御技術の応用分野は、デバイスサイズよりもはるかに大きい領域に限られていた。
研究グループは今回、CNTが有する強い光学的異方性(偏光特性)に着目した。無配向のCNT膜に対し、特定方向に偏光した超短パルスレーザーを照射した。パルス幅は数十ピコ秒以下だ。そうしたところ、レーザーの偏光方向と垂直に配向していないCNTだけが、光エネルギーを吸収して蒸発した。垂直に配向したCNTは破壊されずに残った。この原理を用いることで、レーザー偏光方位に直交した配向CNTを、サブマイクロメートルという空間解像度で形成することに成功した。
新たに開発した「光後加工プロセス技術(光ポストプロセス技術)」を用いて局所配向CNTを作製しその特性を調べた。この結果、レーザー配向CNTの配向度を示す「2Dネマティック秩序パラメーター」は0.93、偏光子の性能指標となる吸光度比は24.7倍であった。これらの値は、大面積配向技術で得られる最高水準に匹敵するという。さらに、極めて弱いエネルギーでレーザーを照射したところ、不要な分散剤のみを選択的に除去できることが分かった。つまり、室温プロセスのままCNT膜の結晶品質を飛躍的に向上させる洗浄効果があることも判明した。
開発した技術を用いれば、マイクロメートル規模の狭い領域内に、方位が異なる4つのCNTを並べて集積することや、文字、縞状、円形といった複合構造体を膜状に直接描き出すことなどが可能になる。
今回の研究成果は、東京理科大学理学部第一部物理学科の西原大志准教授、産業技術総合研究所センシング技術研究部門の鈴木大地主任研究員らの研究グループと、大阪大学産業科学研究所先進材料実装研究分野、理化学研究所光量子工学研究センターテラヘルツ光源研究チームらによるものだ。
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