理化学研究所(理研)とエンプラス研究所の研究グループは、GHzバーストモード超短パルスレーザーを用い、ガラスに超高アスペクト比で高品質の微細貫通穴を、超高速で形成するための技術を開発した。チップレットや3次元実装など先端半導体デバイス製造における基盤技術として期待される。
理化学研究所(理研)とエンプラス研究所の研究グループは2026年6月、ギガヘルツバーストモード超短パルスレーザーを用い、ガラスに超高アスペクト比で高品質の微細貫通穴を、超高速で形成するための技術を開発したと発表した。チップレットや3次元実装など先端半導体デバイス製造における基盤技術として期待される。
最先端半導体デバイスでは、複数のチップを高密度に統合するチップレット技術や3次元実装技術の適用が不可欠となっている。こうした実装技術で重要となるのが、インターポーザと呼ばれる基板だ。次世代インターポーザ材料として、ガラスが有力視されている。高周波特性や平たん性、寸法安定性などに優れているためだ。ただ、微細で高密度な貫通穴形成については、課題もあったという。
研究グループは今回、新たな発振方式であるギガヘルツバーストモード超短パルスレーザーを用い、ガラスの穴あけ加工を行った。レーザー光は円錐形状のアキシコンレンズを用い、ベッセルビームに成形した。
そして、厚み1.1mmのホウケイ酸ガラスに、5パルスから成るバーストパルスをワンショット照射した。この結果、穴径が1.1μm、アスペスト比1000でテーパ形状のない貫通穴を作製することに成功した。貫通穴周辺にはクラックなどの損傷は見当たらなかった。レーザー照射時間に相当するバーストパルス幅は1ナノ秒以下だった。
貫通穴を形成したガラス基板に対し、水酸化ナトリウム溶液でエッチングを行えば、エッチング時間に応じて、穴径を1.1μm以上に大きくすることができる。
水酸化ナトリウム溶液でエッチングを行った試料を貫通穴に沿って切断、レーザー顕微鏡を用いて形成した貫通穴の品質を評価した。この結果、貫通穴壁面の平均表面粗さは0.072μmと、極めて平たんであることが分かった。
半導体パッケージの量産化に向けては、加工速度も重要となる。今回開発した手法を用いると、1ナノ秒以下のレーザー照射時間で貫通穴を形成できる。既に毎秒3000穴の加工速度を達成している。高性能な加工ステージを用いれば、毎秒1万穴以上の加工速度も可能だという。
今回の研究成果は、理研光量子工学研究センター先端レーザー加工研究チームの杉岡幸次チームディレクター、光励起デジタルツイン理研ECL研究チームの谷峻太郎理研ECL研究チームリーダーおよび、エンプラス研究所研究部次世代技術研究室の宮原勇兵研究員(理研光量子工学研究センター先端レーザー加工研究チーム客員技師)、柳沼涼祐研究員(同チーム客員教授)、同生産技術研究室の岡田俊範グループ責任者らによるものである。
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