金沢工業大学によると、富士電機と共同開発した「変電施設向け環境配慮型絶縁技術」が、国際大電力システム会議で「Best Paper賞」を受賞した。温室効果ガス「SF6(六フッ化硫黄)」を使わない絶縁技術が高く評価された。
金沢工業大学は2026年9月、富士電機と共同開発した「変電施設向け環境配慮型絶縁技術」が、国際大電力システム会議で「Best Paper賞」を受賞したと発表した。温室効果ガス「SF6(六フッ化硫黄)」を使わない絶縁技術が高く評価された。
変電所などの電力設備では、数万ボルトから数十万ボルトの高電圧を扱うので、高い絶縁性能が必要になる。SF6は絶縁性能が空気の約2.5〜3倍もあり、変電所のガス絶縁開閉装置(GIS)や遮断器などで活用されている。一方で、地球温暖化係数(GWP)はCO2の約2万4000倍に達し、環境負荷の点で課題となっていた。
金沢工業大学工学部電気エネルギーシステム工学科の大澤直樹教授と富士電機は、SF6を使わない「ドライエア(乾燥空気)」を絶縁媒体としながら、従来と同等の絶縁性能を実現する技術を開発した。この研究成果をフランス・パリで開催された「CIGRE Paris Session 2026」(2026年8月23〜28日開催)で発表した。論文名は「Suppression of gas pressure and tank diameter of dry air GIS by combination of FGM spacer and insulating coating conductor(FGM絶縁スペーサと絶縁コーティング導体の組み合わせによるドライエアGISのガス圧力およびタンク径増大の抑制)」だ。
ドライエアの絶縁性能は、SF6に比べ30〜40%低い。このため、そのまま代替すれば、設備の大型化や高ガス圧力化が必要であった。そこで研究グループは、電界を最適に制御する「FGM(傾斜機能材料)絶縁スペーサ」と高電圧導体表面を保護する「絶縁コーティング技術」を組み合わせる新たな絶縁技術を開発した。
これによって、雷インパルス耐電圧は、従来構造と比べ最大28%向上させることに成功した。また、ドライエア圧力を大幅に低減できることも実証した。実験では245kV級のガス絶縁設備を対象に性能評価を行った。この結果、FGM絶縁スペーサと絶縁コーティング導体を組み合わせたことで、ドライエア圧力は0.75MPaまで低減できることを確認した。設備サイズも新技術を採用することで、タンク径は約1.23倍に抑えることが可能になった。
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