xMEMSがμCoolingの主要な用途として期待するのがAIスマートグラスだ。
スマートグラスでは、プロセッサやディスプレイなどの高性能化が進む一方、発熱への対策が課題となっている。現在はヒートシンクなどを使った受動冷却が主流だが、フレーム内部のスペースは限られ、一般的な冷却ファンを組み込むことは難しい。
Wood氏は「スマートグラスのフレームは肌に直接触れるので、表面温度が45℃程度に達すると安全性や装着感の面で問題になる」と指摘する。温度の上昇を抑えられなければ、プロセッサの性能を制限する必要がある。
これに対し、μCoolingは厚さ約1.1mmのチップをフレーム内部に組み込み、発熱源の近くで空気を流すことで熱を逃がす。従来の受動冷却だけでは難しかった、狭い空間での能動冷却を実現する。
会場では、スマートグラスのフレームの片側にμCoolingを搭載し、非搭載側と温度を比較するデモを実施していた。非搭載側のフレーム表面温度は61℃に達したのに対し、搭載側は38℃だった。
能動冷却には、冷却チップ自体の消費電力や吸排気口の確保といった課題もある。Wood氏によると、μCoolingは消費電力が小さく、機器のバッテリー駆動時間に与える影響は限定的だという。チップ自体は防じん/防水性能を備え、実際の機器では吸排気口にメッシュなどを設けることも想定している。
xMEMSは現在、μCoolingとしてサイズと冷却性能の異なる3製品を展開している。
最も小型の「XMC-1200」は、主にスマートグラスやクロスリアリティー(XR)機器の光学系、プロセッサなどの冷却を想定した製品だ。外形寸法は5×8×1.14mmで、システムとしての標準消費電力は約70mWに抑えている。中型の「XMC-2400」は7.42×9.48×1.13mmで、最大27cm3/秒の風量を実現する。消費電力は約150mW。スマートグラスのほか、ポータブルSSDなどへの搭載を想定している。大型の「XMC-4800」は9.93×14.35×1.13mmで、最大風量は47cm3/秒、消費電力は約240mWだ。より高い冷却性能が求められるスマートフォンやデータセンター向けSSDなどをターゲットとする。
XMC-2400/4800の2製品は2026年10月に量産開始を発表していて、XMC-1200はサンプル提供段階だ。
Wood氏によると、小型化すると風量は減少する一方、シリコンダイの面積が小さくなることでコストを抑えられる。搭載スペースや必要な冷却性能、コストなどに応じて製品を使い分ける方針だ。
Wood氏によると、複数の企業がμCoolingに関心を示していて、評価や採用に向けた検討を進めているという。日本企業からも問い合わせがあり、今回のCEATEC出展も、国内での認知度向上を狙ったものだ。
冷却方法についても、μCoolingだけで全ての熱対策を置き換えるわけではない。Wood氏は、ヒートシンクなどの従来の冷却部品と組み合わせる方法のほか、スペースの制約が大きい機器でμCoolingを活用する方法など、さまざまな実装形態を想定していると説明した。
Wood氏は「今後はわれわれが想定していなかった用途にも採用が広がることを期待している」とした。
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