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「大手とは競わない」 タイワンセミコンダクターの車載戦略とは:新MOSFETで日本展開強化(2/2 ページ)

» 2026年10月27日 11時00分 公開
[永山準,EE Times Japan]
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製品群拡充には外部委託を活用、事業拡大に応じ内製化

 TSCは、主力のダイオードやTVSダイオードなどは台湾と中国にある計4拠点(前工程、後工程拠点をそれぞれ1カ所)の自社工場で生産する一方で、製品ポートフォリオの拡充に当たっては、外部ファウンドリーを活用しているという。例えばMOSFETについては前工程を全て外部委託していて、後工程は内製と外部委託を併用する。

 佐藤氏によると、TSCは新たな製品分野に参入する際、初めから製造設備に大規模な投資を行うのではなく、まず外部委託を活用することで、設備投資の負担に事業展開が左右されないようにしているという。

 一方で、事業の拡大に応じて内製化も進めている。今回採用した5×6mmパッケージについても、以前は後工程を外部委託していたが、現在は内製化している。佐藤氏は、MOSFET事業が将来的に十分な規模に拡大すれば、前工程の内製化も選択肢となり得るとの見方を示した。

「大手と正面から競うわけではない」TSCの戦い方

 MOSFET市場では、Infineon TechnologiesやSTMicroelectronics、onsemi、国内では東芝などの大手メーカーが先端技術を展開し市場をけん引している。佐藤氏は、TSCがこうしたメーカーと最先端技術や事業規模で正面から競うことを目指しているわけではないと説明する。

 商機と捉えるのは、新技術を採用したシステムが普及し、量産規模が拡大する段階だ。先行する大手メーカーが新たな市場を開拓する一方、製品が普及して標準的に搭載されるようになれば、最先端の性能だけでなく、成熟したプロセスによるコスト競争力や品質、安定供給が重視されるようになる。

 こうした戦略の下、TSCが今後の成長機会として期待するのが、車載電源システムの48V化だ。40V耐圧品は、現在主流の12V電源システムをはじめ、幅広い車載用途で使用される。一方、80V、100V耐圧品は、オンボードチャージャーやAC-DCコンバーターなど、より高い耐圧が求められる用途に「特にフィットするだろう」としている。特に欧州では48Vシステムの採用が進んでいて、佐藤氏によると、2027年ごろからPerFETを採用したシステムが市場に登場する予定だという。

 日本の自動車メーカーでも欧州の動向を踏まえ、車載電源システムの48V化を検討する動きがある。佐藤氏は、2030年ごろには国内でも48Vシステムを採用した製品が市場に登場する可能性があるとみていて、2030年代には80V、100V耐圧MOSFETの需要拡大を期待する。

 TSCは、こうした市場の拡大に伴い、顧客の間で調達先を多様化する動きも強まるとみている。今後も技術開発を進めると同時に、ダイオードやTVSダイオードなどで培った品質や安定供給の実績なども生かし、量産市場での存在感を高めていく考えだ。

日本での採用拡大へ、名古屋拠点を通じ顧客対応を強化

 日本市場でのMOSFET事業拡大に向けて、佐藤氏は「MOSFETメーカーとしての認知度がまだ低い」点を課題として説明する。TSCはダイオードやTVSダイオードでは国内で採用実績を積み重ね、ここ数年は日本市場での売上高も右肩上がりで推移している。一方、MOSFETについては認知度、採用実績ともにまだ限定的だという。

 2025年に投入した80V、100V耐圧のPerFETシリーズについても、車載用途では新規設計から量産採用までに3〜4年程度を要することもあり、現時点で大きな売上高への寄与はないという。ただ、先行して展開していた40V耐圧のPerFETや、それ以前の既存製品については車載用途で採用実績があり、また産業機器向けでも新規採用が徐々に増えていると語った。

 日本市場での事業拡大に向け、TSCは営業/技術サポート体制を強化している。2025年7月には名古屋市に事務所を新設。東海地区には自動車メーカーを中心としたサプライチェーンを構成する車載電装メーカーが集積しているため、今後も需要や引き合いの拡大が期待できるという。

 TSCは以前から東京拠点を通じて関東や東北地区の顧客に対応してきたが、名古屋事務所には営業担当者を配置し、東海地区の顧客への対応を強化した。佐藤氏は、顧客からの問い合わせに対して迅速に訪問し、打ち合わせなどに対応できることが、現地に拠点を置く利点だと説明する。今後も需要拡大を見据え、名古屋事務所への人員や設備、資金の投入を強化していく方針だ。

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