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「ダイエットで美しくなれる」は、本当か?世界を「数字」で回してみよう(17) ダイエット(3/9 ページ)

» 2015年07月16日 11時00分 公開
[江端智一EE Times]

「頑張る!」はダイエットの障害に?

 最後に、言葉がつながりあっている様子を示す「ことばネットワーク」を図示します。

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 「0日」の方は、「始める」という言葉が「ダイエット」以外の内容にも見られ、今から何かを始めるのだ、という強い意識があることが分かります。一方、「1日以上」の方では、ダイエットブログ第1回においても、気負った様子はなく、冷静、淡々と報告をしていることが読み取れます。

 まとめますと、最速でダイエットに失敗している「0日」の人の特徴として、

(1)「ダイエットを完遂する」という強い決意があり
(2)「他人に知らせることでその決意を強化する」という他力本願の手段を用いており、
(3)ダイエットとは「日常を断ち切り、非日常を開始すること」と認識している

と、言えるかと思います。

 これを心理学の観点から、考察してみます。

 「0日」の方では「ダイエットを続けるために『気合い』を入れている」ことは明らかです。この『気合い』のことを、心理学では「生理的覚醒」といいます。

 ダイエットは基本的につらいものですが、ダイエットを始める前に、私たちはそのつらさのことをコロっと忘れています。特に「0日」の人はその傾向が顕著です。そして、ダイエットの開始直後、そのつらさに気がつき、「ダイエットを続けたい」という気持ちと、「ダイエットを止めたい」という気持ちが共存する状態になります。

 この相反する2つの気持ちの中で、強く反応する方を、心理学では「優勢反応」といいます。女優、アイドルなどの特別な人を除き(後述します)、多くの人は「ダイエットを止めたい」気持ちが「優勢反応」になります。ダイエットは楽しいものではないからです。

 実際、私は、『ダイエット大好き』『ダイエットって快感』などと記載されたダイエットブログは1つも見つけられませんでしたし、「毎日大爆笑しながらダイエットを続けている」という知人もいません(本当にいたら怖い)。

 そして、都合の悪いことに「ダイエットを続けたい」という気合い(生理的覚醒)が強ければ強いほど、「ダイエット止めたい」という気持ち(優勢反応)も、より強化されるのです。これを、心理学では「生理的覚醒による優勢反応の強化」といいます。

 以上をまとめますと、ダイエットにおいては、「今度こそ本気です」「目標達成まで続けます」「絶対にやせます」などの強い決意表明それ自体が、それらの決意をことごとく、たたきつぶしている可能性があるということです。

 では、私たちはどうすればよいのでしょうか。

 まずは、この「1日以上」の人たちの行動パターンを試してみることをお勧めしたいと思います。

 つまり、――「頑張る」を連呼せず、他人を当てにせず、ダイエットを日常生活に組み込み、冷静、淡々と続ける ―― ということです。

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