2nm半導体設計基盤でRapidusとシーメンスが協業 : プロセスデザインキットを共同開発
Rapidusは、2nm世代以降の半導体設計・製造プロセスに関し、シーメンスデジタルインダストリーズソフトウェア(以下、シーメンス)と戦略的協業を行うことで合意した。シーメンスが提供する設計/検証ツール「Calibreプラットフォーム」をベースにPDK(プロセスデザインキット)を共同開発し、設計・検証のエコシステムを構築していく。
Rapidusは2025年6月23日、2nm世代以降の半導体設計・製造プロセスに関し、シーメンスデジタルインダストリーズソフトウェア(以下、シーメンス)と戦略的協業を行うことで合意した。シーメンスが提供する設計/検証ツール「Calibreプラットフォーム」をベースにPDK(プロセスデザインキット)を共同開発し、設計・検証のエコシステムを構築していく。
Rapidusは、従来のDFM(Design for Manufacturing:製造のための設計)に加え、MFD(Manufacturing For Design:設計のための製造)という新たなコンセプトを取り入れた。これにより、設計と製造を同時に最適化し、アジャイルな設計を可能にするための「DMCO(Design-Manufacturing Co-Optimization)」を具現化していくという。
製造と設計の相互最適化を図るDMCOの概念[クリックで拡大] 出所:Rapidus
MFDに対応することで、顧客が設計した製品は製造の初期段階から「高い歩留まり」と「単TAT」を実現していく。Rapidusとシーメンスの一部門であるシーメンスEDAは、半導体の設計支援と前工程・後工程を一貫して行うRUMS(Rapid and Unified Manufacturing Service)の構築にも取り組む。
今回の協業により、Rapidusは設計から製造までを国内で一貫して行える体制を整える。同時に、「設計データのセキュアな管理」や「製造トレーサビリティの確保」「EDAソリューションとの連携による情報漏えいリスクの低減」などを実現していく。
Rapidusの社長兼CEOを務める小池淳義氏は、「シーメンスとの協業はDMCOコンセプトを具現化するものである。また、PDKやIPの検証環境を整備するだけでなく、レファレンスフローの形でオープンに展開する。最先端ファウンドリ―として2nmGAAプロセスのMFDを実現すれば、テープアウトまでの期間を飛躍的に短縮することが可能になる」とコメントした。
「Rapidusを支援したい」 VCに転身のPat Gelsinger氏、日米の協業に意欲
米国を拠点にディープテックへの投資を行うベンチャーキャピタルのPlayground Globalは、メディア向けの事業説明会を開催した。説明会にはPlayground ゼネラルパートナー兼共同創業者のPeter Barrett氏、Intelの前CEOで現在Playgroundのゼネラルパートナーを務めるPat Gelsinger氏らが登壇した。
Rapidus、試作は25年7月以降 性能に自信も「楽観できない」
Rapidusは、2025年度の新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の研究開発事業の計画/予算承認を受けた。これを受け、2nmパイロットラインの立ち上げを開始する。
Rapidus、半導体設計支援のQuest Globalと提携で顧客獲得へ
Rapidusは2025年3月25日、シンガポールを拠点に半導体の設計支援などを行うQuest Globalと協力覚書(MOC)を締結した。Quest Globalの顧客はRapidusの2nm GAA(Gate All Around)製造プロセスを利用可能となる。Rapidusは協業を通じて顧客開拓も目指す。
エレクトロニクス産業は「日本に追い風」 業界全体で底上げ目指す段階に
2024年に過去最高の市場規模を記録した世界半導体市場。ただし、半導体分野を取り巻く状況は世界経済と国際情勢の両面で不安定であり、先行きを見通しにくくなっている。そうした中、Omdia シニアコンサルティングディレクターの南川明氏は、日本の半導体/エレクトロニクス産業には追い風が吹いていると語る。
Rapidus、セイコーエプソン千歳事業所に後工程R&D拠点を開設へ
Rapidusは、セイコーエプソン千歳事業所(北海道千歳市)内にクリーンルームを構築し、半導体後工程の研究開発拠点「Rapidus Chiplet Solutions(RCS)」を開設すると発表した。2025年4月から製造装置を導入し、2026年4月を目標に研究開発活動を開始する計画だ。
Rapidusの顧客は十分にいるのか 米アナリストの見解
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