台湾Innolux子会社のCarUX Holdingがパイオニアの全株式を1636億円で買収する。所定の条件および関係当局の承認を経て、2025年第4四半期(2025年10〜12月)までに完了する見込みだ。
台湾Innoluxは2025年6月26日(台湾時間)、同社子会社のCarUX Holding(以下、CarUX)がスウェーデンの投資ファンドEQTが保有するパイオニアの全株式を1636億円で買収すると発表した。所定の条件および関係当局の承認を経て、2025年第4四半期(2025年10〜12月)までに完了する見込みだ。
Innoluxは大型から小型/中型パネルまで幅広く手掛ける液晶大手だ。CarUXはInnoluxの子会社で、自動車向けに「スマートコックピットディスプレイ」などを展開。ティア1サプライヤーとして20年以上の実績を有する。なおInnoluxとCarUXは2024年12月、JDIと次世代OLED(有機EL)ディスプレイ「eLEAP」に関する戦略提携契約を締結している。
Innoluxは今回の買収によって、CarUXのアジア/太平洋市場における展開およ事業ポートフォリオの多様性を強化する狙いだ。同社はパイオニアについて「車載音響、マルチメディアシステム、ヒューマンマシンインタフェース(HMI)ソフトウェア開発の分野で総合的な技術力を有し、日本および世界の主要な自動車メーカーと長年にわたる関係を築いている。CarUXの成長戦略に大きな付加価値をもたらすだろう」と評価。シナジー効果について「スマートコックピットシステムにおけるビジュアル、オーディオ、HMIの統合に注力し、CarUXの製品競争力がさらに強化される。両社の研究開発(R&D)と製造ネットワークを統合することで、CarUXは世界の自動車メーカーと消費者のニーズにより機敏に対応できるようになる」としている。
パイオニアは1938年創業でオーディオ分野で長い歴史と実績を有していたが、2010年代に経営が悪化、2019年に投資ファンドのベアリング・プライベート・エクイティ・アジア(BPEA)の完全子会社になった。そして2022年、同業であるEQTがBPEAを買収していた。
パイオニアの社長である矢原史朗氏は「CarUXは車載向けスマートコックピットディスプレイおよびソリューションに関するグローバルな知見と実績を有している。CarUXと共に、業界に前例のない統合型の価値製品を提供できると信じている。これまでのEQTのパートナーシップに感謝するとともに、今後はInnoluxグループのチームと協業してさらなる成長を実現していく」とコメントしている。
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