それならば、パラダイムを逆転させましょう。
「ダイエットをやっているから、痩せる」という、この考え方自体がもうダメです。
「今、痩せているなら、このダイエットは正しい」が正しいのです。
どんなに食事を我慢しようとも、毎朝起きて走り込みしようとも、それで、あなたが痩せないのであれば、そのダイエットは正しくないのです。
このパラダイムを実践するのに必要なものは、「体重計」と「ノート」だけです。
先ほど申し上げたように、どんなに緻密なカロリー計算をしたところで、あなたの体が摂取したカロリーを正確に算出する手段はないのです。ならば、その逆をやれば良いのです。
具体的に説明します。
まず、電卓を用意して、以下の値を出してください。
こんな感じで、あなたの1日の消費カロリーをざっくり計算します。
ざっくりでいいのです。どうせ、正確な値は分かりません。しかし、(江端の場合)この2170kcalという値は、覚えておくとちょっとした「目安」になるのです。
その目安とは、「(江端は)2170kcalを超えて食べれば太り、2170kcalより少なければ痩せる」というものです。
これは、1日3食の食事のカロリー量の目安に使うものですが、小腹が空いた時にも使えます。例えば、コンビニエンスストアで、「甘いものを一口だけでも欲しい」と思い、「一口ようかん」を手に取って、そのカロリー表示を見ると、"168kcal"と記載されていたとします。
―― 今日1日使えるカロリーの1割近くを、この「ようかん」1個が持っていく。
そう思うと、スイーツ選びでさえ、かなり用心深くなります。
最近の私は、スイーツ1つ選ぶ時にも真剣勝負です。コンビニの店員は、商品(のカロリー表示)をにらみつけながら立ち続けている私を、さぞ「気持ち悪い」と思っていることでしょう。
編集注)読者の皆さまもぜひ、1日の消費カロリーを計算してみてください。そして、普段皆さまが口にする、あらゆる食べ物のカロリーと比べてみてください。
後は毎日、ひたすら体重計に乗り続け、あなたの体重の値で、摂取カロリーを逆算するのです。
さて、ここで、とても簡単な摂取カロリーの計算方法をお教えします。
例えば、あなたが一週間で平均0.5kg(500g)程度太ったとします(1日単位では変動が大きすぎるので、1週間分を平均します)。
この場合、あなたは、大体、1日あたり500kcal食べ過ぎていることになるのです。計算の根拠は以下の図の通りです。
つまり、これは1週間が7日であることと、7kcalが体重1グラムに相当するという、2つの"7"で、"7÷7 = 1"としているものです。
もし私が、1週間で1kg(1000g)痩せたいのであれば、一日の食事量を1000Kcal(今の食事を半分にする)にすれば良いのです(かなりキツイですが)。
そして、この式より、私が1週間で2kg以上痩せることが、もはや不可能であることも分かります。
私の場合、基礎カロリーが2170kcalなのですから、そこから2000kcalを引いたら170kcalしか残りません。つまり、「一口ようかん」たった1個だけで、1日を過ごさなければならないということです。間違いなく私は、病気になるでしょう。
ましてや、「1週間で5kg痩せる」などと言うことが、現実的に不可能であることは、誰にでも分かるはずです(1日7000Kcalの運動をすれば不可能ではありません。毎日7時間、連続でクロールを泳ぎ続けるか、あるいは、毎日70時間ほど歩き続けるという芸当ができれば、論理的には可能です)。
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