さまざまな用途に向けた二次電池の開発を支援するNEDOの主張は、「自動車用に開発が集中し、他の用途に求められる性能について広くは知られていない」というものである。
特に再生可能エネルギー源と組み合わせて動作する二次電池の開発が遅れている。NEDOが委託した「系統連系円滑化蓄電システム技術開発」では、2030年までに国内の電力供給の10%相当を再生可能エネルギーでまかなうことを前提としている。再生可能エネルギーは出力が一定しておらず、系統に大量に接続されると、電圧の上昇、下降などさまざまな障害の原因となり得る。これを防ぐには太陽光発電や風力発電を系統に直接接続するのではなく、いったん二次電池を経由するようにすればよい。
電力中央研究所と三菱総合研究所は太陽光発電と風力発電の運転データを収集し、どのような二次電池が必要なのかを調査した。その結果、太陽光発電に比べて風力発電の方が短時間の変動が大きく、発電規模が同等の場合、必要な電池の容量も風力発電の方が大きくなるとした。例えば2時間単位で出力を平滑化する場合、太陽電池の約1.4倍の二次電池が必要になると言う。
系統連系に用いる二次次電池について、NEDOのプロジェクトでは、2010年度末と2030年時点の開発目標を3つずつ挙げている(表2)。2010年度末では、容量1MW規模の二次電池システムの構築が目標だ。これは一般住宅の3000軒分に相当する。
2番目に二次電池の量産時のコストが4万円/kWhを下回ること、3番目は寿命が10年間以上となることだ。
電力中央研究所と三菱総合研究所が日立製作所の二次電池を使い、太陽光発電や風力発電の発電パターンに沿って充放電を繰り返した実験データ(1年間分)によれば、10年後の電池容量はいずれの場合も7割を維持でき、NEDOの目標を達成できるという。
NEDOによれば2030年時点に必要な電池技術は以下の3つだという。2010年の技術と比べていずれも高い水準にある。まず、20MW〜30MW級の蓄電池システムに大型化できることである。次に量産時のコストを1.5万円/kWhとした。2010年末の目標の1/3近いコストダウンが必要になる。寿命は2010年末の目標値の2倍、20年である。これは太陽光発電所が備える太陽電池モジュールや風力発電所のタービンなどと同等の寿命である。
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