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【ISSCC 2010】IBMがPower7を発表、新Itaniumを性能で大きく上回るプロセッサ/マイコン

» 2011年02月11日 16時03分 公開
[Rick Merritt,EE Times]

 米IBM社は2010年2月8日、「Power7」プロセッサの新モデルと、同プロセッサを搭載したサーバー機4製品を発表した。最上位のサーバー機は8つのPower7を搭載できる。

 競合の米Intel社と米Hewlett-Packard(HP)社は、同日にItaniumプロセッサの新モデル「Itanium 9300」(開発コード名「Tukwila」)を発表したが、新しいPower7の方が優れているという評判が目立つ。IBM社は競合を大きく突き放し、話題を独占した。

 米国の半導体市場調査会社であるInsight64社でプリンシパルを務めるNathan Brookwood氏は、「IBM社は、今回発表した新サーバー機で大幅に性能を向上させた。その性能はIntel社のItanium 9300を大きく上回るだろう」と説明する。

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 Intel社が発表したItanium 9300は、65nm製造技術を適用しており、同社が2007年に発表したデュアルコアのItaniumプロセッサ(開発コード名「Montvale」)と比べて、2倍の性能を発揮するという。一方、IBM社のPower7は45nm製造技術で生産される。4スレッドを同時実行可能なコアを8つ統合している。

 Itanium 9300は動作周波数が最大1.7GHzで、8スレッドを同時実行できるが、Power7は3.3GHzで動作し、32スレッドを同時実行できる。キャッシュ・メモリーでもPower7が優れている。Itanium 9300は最大で24Mバイトの3次キャッシュを搭載する。一方、Power7の3次キャッシュは最大で32Mバイトにもなる。

 IBM社は、半導体関連の国際学会「ISSCC(IEEE International Solid-State Circuits Conference)」(2010年2月7日〜11日、米カリフォルニア州サンフランシスコ)の会場で新しいPower7の詳細を発表した。このプロセッサは2009年8月の「HOT CHIPS 21」(2009年8月23日〜25日、米カリフォルニア州スタンフォード)でその姿を現し、注目を集めていた。

 「IBM社は、高性能サーバー機市場で大きなシェアを獲得しつつあり、今後も好調を維持するはずだ。この市場では、最終的にはIBM社に軍配が上がると予測できる。一方、Intel社のItaniumは既存顧客を維持することはできるが、Power7には太刀打ちできないだろう」とBrookwood氏は推測する。

 同氏は新しいItanium 9300について、「Itanium 9300搭載のサーバー機は、前世代の製品と変わらないコストで導入できるが、2倍の性能が期待できる。Itanium搭載サーバー機をすでに導入しているユーザーなら、新サーバー機に魅力を感じるだろう」と分析する。

 Intel社は当初、2008年末にItaniumシリーズの新モデルを発表する予定だったが、開発が遅れていた。しかし、その間に米Sun Microsystems社は、Itaniumの競合となるハイエンド・プロセッサ(開発コード名「Rock」)の開発中止を決定している。

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