コンピュータ周辺機器の製造・販売を手掛けるシロクが展示していたのは、赤外線LEDとCMOSイメージセンサーを使ったタッチパネルだ。
赤外線LEDとCMOSイメージセンサーを1組とし、ディスプレー上部の左隅と右隅に1組ずつ取り付ける。また、ディスプレーの縁に赤外線LEDの光を反射するテープ(再帰反射テープ)を張り付けておく。その上で、ディスプレーに触れると、赤外線が反射する状況が変わる。これを、2つのCMOSイメージセンサーで検出することで、位置を把握する仕組みである。
赤外線LEDを使ったタッチパネル技術には、赤外線LEDとフォトダイオードでアレーを構成した赤外線マトリクス方式がある。「赤外線マトリクス方式は、ディスプレーを大型にするほど、部品コストが掛かってしまう。当社の方式は、大型のディスプレーになるほど、コストや検出精度の観点で有利だ」(同社の説明員)という。
同社は、赤外線LEDとCMOSイメージセンサーを組み合わせた光学モジュールを、ディスプレーのサイズに合わせ、3タイプ用意している(図4)。15〜26インチ型に対応した「XS-S01A」と、32〜65インチ型に対応した「XS-M51A」、70〜100インチ型に対応した「XS-L91A」である。
三菱電機エンジニアリングは、NFCリーダーを内蔵したタッチパネルディスプレーなどを展示した(図5)。ディスプレーの左下の領域にNFCリーダーが搭載されており、そこにICカードをかざすだけで、情報を伝達できる。現在、タッチパネルディスプレーは、企業の入退室管理などにも使われているが、個人の認証にはNFCリーダーを外付けして使ったり、社員番号を利用者自らが入力する必要があった。
「NFCリーダーを取り込んだタッチパネルディスプレーは、デジタルサイネージにも有効だ」(同社の説明員)という。例えば、ディスプレーに地図や商品情報、クーポンを表示させ、一般消費者にモバイル端末を使ってタッチしてもらうことで、情報を取得させるといった用途である。
現在、NFCタグを埋め込んだポスター(スマートポスター)が提案されている(関連記事)。ディスプレーとNFCを組み合わせることで、表示する映像に合わせて提供する情報を変えるなど、さらに効率的な情報提供が可能になる。「タッチパネル技術の用途の広がりを見せる展示だ。参考出展という位置付けだが、要望があれば提供できる」(同社の説明員)。
内蔵したNFCリーダーは、NFCに関する国際標準規格「ISO/IEC 18092(NFCIP-1)」に準拠しており、通信速度は106kビット/秒または、212kビット/秒、424kビット/秒。通信距離はタッチパネル面から約5cmである。
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