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マーベルが高効率なLED電球開発に役立つ設計キットを発表LED/発光デバイス

LED電球を製品化するには、光源のLEDチップと電球のカバー以外にも必要なものがある。制御用のチップだ。Marvell Technology Group(マーベル)はPhilips Lumileds LightingのLEDチップ向けとCreeのLEDチップ向けのリファレンス設計キットを発表した。制御に必要なチップ数を減らしつつ、発光効率や演色数を高めることが可能だという。

» 2011年05月25日 23時56分 公開
[Nicolas Mokhoff,EE Times]

 Marvell Technology Group(Marvell)は、40W相当のLED電球を開発するためのリファレンス設計キットを発表した。この設計キットは、Philips Lumileds LightingのLEDチップに向けたもので、MarvellのデジタルフライバックPFCコントローラー「88EM8081」を採用している。

 この設計キットは、LED照明のターンキーソリューションとなり得る。製品化に当たっては、厳密な事前試験が行われたという。半導体メーカーは通常、4カ月から6カ月の期間をかけてこうした試験を行う。さらに環境保全や法的規制の順守、安全要求といった面に欠かせない仕様を備えている。

 Marvellの環境保全技術製品部門でバイス・プレジデントを務めるキショア・マングナニ(Kishore Manghnani)氏は、「高性能型2系統LED向けの電源制御チップである88EM8801は、Marvellがこれまで低消費電力の実現やエネルギー効率の向上に向けたソリューションの開発で培ってきた幅広い知識を活用して開発したものだ。当社は、環境に優しいシリコン技術を提供するというコミットメントを掲げており、今回、このコミットメントを共有するPhilips Lumileds Lightingのような企業に協力できることを光栄に思う」と述べた。

 今回のリファレンス設計キットはA19口金型の40W相当のLED電球に向けたものだ。消費電力を6.5Wに抑えながら、演色数(CRI:Color Reading Indicator)80以上で光束475lmのLED電球を実現できるという。相関色温度の想定は3000Kだ。この設計キットは、世界各国の交流電圧で動作し、力率は0.99と高く、全高調波歪み(THD:Total Harmonic Distortion)は10%にすぎない。

 Marvellは、独自の2系統LEDドライバ技術を88EM8801に採用したことにより、他に例を見ない照明ソリューションを実現できたと主張する。具体的には、発色の異なるLED系統(ストリング)に対して混色を制御することで、高い演色数や発光効率(lm/W)を実現できるようになった。88EM8801を使うと、95%以上もの効率を実現でき、ワイヤレスの照明制御用のオンチップ通信インタフェースを利用できる。

 88EM8801は、高性能な照明機能を実現するため、高度に統合されている。従来、こうした照明機能を実現するには、複数のドライバチップやマイクロコントローラーの他、さまざまな個別部品などを実装する必要があった。1つのチップに統合したことにより、小型化や、設計の複雑さの軽減、LEDパワーエレクトロニクスの導入コストの削減といった課題を解決することができた。加えて一般的なLED電球の全コストのうち、最大で60%を占めるといわれるLED部品のコストを軽減できるようになった。

Creeチップ向けの設計キットも提供

 この他、Marvellは、米国のCreeが開発したLEDチップを用いたLED電球の大量生産に向く設計キットも発表した。Marvellによると、この設計キットを使うと設計キットとしては初めて、40W〜100W相当の明るさを実現できるという。CreeのLEDチップを採用したOEMメーカーはこの設計キットを利用することで、製品の市場投入までの時間を短縮でき、製造コストを最低限に抑えながら、最高の照明性能を実現することができるという。

【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】

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