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「狙うはグリーンアプリケーション」、TIが新型デュアルコア・マイコン群を発表プロセッサ/マイコン

再生可能エネルギーやスマートグリッド、電気自動車、デジタル制御電源、高効率のモーター制御など、「環境への配慮に対応した、各種のグリーンアプリケーション」を狙う。

» 2011年06月20日 10時30分 公開
[薩川格広,EE Times Japan]

 日本テキサス・インスツルメンツ(TI)は、32ビットの新型マイコン群「Concerto(コンチェルト)」シリーズを発表した。デジタル信号処理の機能を強化した同社独自のCPUコア「C28x」と、ARMのCPUコア「Cortex-M3」を組み合わせて1チップに集積したデュアルコア品である。複数の製品群をそろえる同社の高速マイコン「C2000」シリーズの最上位品という位置付けだ(図1)。再生可能エネルギーやスマートグリッド、電気自動車、デジタル制御電源、高効率のモーター制御など、「環境への配慮に対応した、各種のグリーンアプリケーション」(同社)を狙う。

図1 図1 TIが提供する高速マイコンのラインアップ 新シリーズ「Concerto」は、「C2000」シリーズの中でもハイエンドに位置付けられている。出典:日本テキサス・インスツルメンツ
図2 図2 想定するアプリケーションの実装イメージ 太陽光発電インバータへの適用例である。出典:日本テキサス・インスツルメンツ

 同社によれば、こうしたグリーンアプリケーションでは一般に、大きく2つの機能がマイコンに求められるという。1つは、高精度かつ高効率の電力変換を実行するための複雑な処理を担う、リアルタイム制御機能。もう1つは、フィールドバスやイーサネット、USB、CAN、シリアルインタフェースなどを介してホストシステムと接続し、遠隔から制御したり、データの共有や分析、モニタリングをしたりするための通信機能である。Concertoでは、リアルタイム制御機能をC28xコアが担い、Cortex-M3コアがホスト通信機能を受け持つことを想定した(図2)。

 このように各機能をそれぞれ専用のコアが担当することで、「シングルコアの標準的なマイコンでは、どちらか一方の機能を優先し、もう一方は妥協するといったトレードオフが必要だった。それが不要になる」(同社)という。さらに、「各機能に専用マイコンを使う2チップ構成では、システム構成が複雑になる。また、チップ間をつなぐ通信インタフェースやレイテンシの調整も必要だった。このデュアルコア・マイコンなら、これらの課題を一掃できる」(同社)と説明する。すなわちConcertoでは、C28xコアを中核に、同コア専用の周辺ブロックを配置してリアルタイム制御に最適化したサブシステムを構築し、Cortex-M3コアについても同様に専用の周辺ブロックを統合し、ホスト通信に最適化したサブシステムとしてまとめた(図3)。両サブシステム間はチップ上の内部バスで接続されており、高速アクセスが可能なため、2チップ構成に比べてレイテンシを低減できるという。

図3 図3 Concertoの機能ブロック図 C28xコアを中核とするリアルタイム制御用サブシステムと、Cortex-M3を中心に据えたホスト通信用サブシステムが1チップに統合されている。出典:日本テキサス・インスツルメンツ
図4 図4 各種ソフトウェアライブラリやミドルウェアも提供 特定アプリケーション向けのライブラリや、汎用通信インタフェース用ミドルウェアなどを提供する。出典:日本テキサス・インスツルメンツ

 コアの動作クロック周波数や集積するメモリの容量などが異なる品種を複数用意した。クロック周波数は、C28xコアとCortex-M3がそれぞれ150MHzと75MHz、もしくは100MHzと100MHz、60MHzと60MHzの3通り。メモリはフラッシュメモリが最大1Mバイト、RAMが最大132Kバイトである。パッケージは144端子QFP封止。1000個購入時の参考単価は6.99米ドル。検証用キット「F28M35x」も用意した。参考価格は139米ドルである。また、イーサネットやUSBなどのインタフェース実装用ソフトウェアライブラリを無償で提供する(図4)。さらに2011年第3四半期には、デジタル制御電源やモーター制御、再生可能エネルギー向けのソフトウェアライブラリも提供を開始する予定だ。

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