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SiliconBlueが40nm技術適用の次期FPGAを発表、スマートフォン用とタブレット用をラインアッププログラマブルロジック FPGA

スマートフォンへの搭載を想定して低消費電力化を優先した品種と、タブレットPCへの内蔵を狙って高速動作に重点を置いた品種をラインアップする。いずれも、65nm技術を適用する現行品に比べて、論理セルの集積規模が2倍に高まるという。

» 2011年07月14日 14時35分 公開
[薩川格広,EE Times Japan]

 FPGAの新興ベンダーである米国のSiliconBlue Technologies(シリコンブルー・テクノロジーズ)は2011年7月11日、40nm世代の半導体プロセス技術で製造する次期製品群「Los Angeles(ロサンゼルス)」を発表した。スマートフォンへの搭載を想定して低消費電力化を優先した「LPシリーズ」と、タブレットPCへの内蔵を狙って高速動作に重点を置いた「HXシリーズ」をラインアップする。いずれも、65nm技術を適用する現行の製品群「iCE65」に比べて、論理セルの集積規模が2倍に高まるという。両シリーズともに既に一部品種のサンプル出荷を始めている。

図1 SiliconBlue TechnologiesのDenny Steele氏 ソリューションマーケティング担当のバイスプレジデントを務める。2011年7月に来日した機会に、「Los Angeles」についてEE Times Japanに説明した。

 SiliconBlueは、バッテリ駆動の消費者向け携帯型機器の市場に注力するFPGAベンダーだ。同社のFPGAはプログラム領域の基本素子にSRAM素子を使うタイプで、論理セルを構成するルックアップテーブル(LUT)は4入力1出力型の一般的な構造を採る。コンフィギュレーションデータを格納する不揮発性メモリを集積した品種を用意しており、外付けのブートROMは不要だ。

 既存のFPGAベンダーもSRAMベースのFPGAにフラッシュメモリーを混載したり、基本素子にアンチヒューズ素子を使って不揮発性を実現したFPGAを供給しているが、SiliconBlueによると「そうした方式では微細化の進んだCMOS技術を適用できない。数世代前の製造技術を採用せざるを得ず、コストや集積規模の面で消費者向けの携帯型機器が求める要件に応えられていなかった」という。これに対し同社のFPGAは、標準的なCMOS技術で製造可能なOTP(One Time Programmable)メモリを混載することで不揮発性を実現しており、微細化の進んだ製造プロセスを適用できる。その結果、低い消費電力と高い集積規模を両立することが可能だと主張する。「現行の製品群は既に600万個を超える出荷実績がある。NTTドコモが2010年冬モデルとして投入した、LG Electronics製携帯電話機にも搭載されている」(SiliconBlueでソリューションマーケティング担当のバイスプレジデントを務めるDenny Steele氏)。

図2 SiliconBlueのFPGAの特徴 バッテリ駆動の携帯型機器に向けて最適化していることから、同社はこのFPGA製品群を「mobileFPGA Platform」と呼んでいる。出典:SiliconBlue Technologies

センサー管理やビデオインタフェース処理をアプリケーションプロセッサからオフロード

 40nm技術で製造する次期製品群のうち、低消費電力品であるLPシリーズは、先に述べた通り、スマートフォンを主な用途として想定する。具体的には、アプリケーションプロセッサのコンパニオンチップとして利用し、ジャイロセンサーや地磁気センサー、バッテリ監視センサー、照度センサーといった各種センサーを管理したり、ビデオデータのインタフェース変換などの処理を担う。一方、高速動作品であるHXシリーズは、タブレットPCに向けて性能を強化しており、WUXGA(1920×1200画素)クラスのビデオデータを扱えるという。

図3図4 左図は、取り扱えるビデオデータのフォーマットを製品世代ごとに示した。右図は、タブレットPC向けの高速動作品を使ってビデオ処理を実装する例である。出典:SiliconBlue Technologies

 両シリーズともに、論理セルの集積規模が640〜1万6000個の範囲で異なる複数の品種を用意した。消費電力は65nm世代の現行品と同等ながら、動作速度は低消費電力シリーズで約50%、高速シリーズで80%程度高まるという。なお2008年に現行品を発表した時点では、その消費電力について、論理セル数が3520個の品種で32MHz動作時に9mW、32kHz動作時に25μW、待機時に15μWだと説明していた。

 価格については、最小パッケージ品で1.99米ドルからに設定する。低消費電力品で8000個の論理セルを搭載する「iCE40LP8K」と高速動作品で同規模の「iCE40HX8K」については、既にサンプル出荷を始めており、2011年第4四半期に量産出荷を開始する予定だ。その他の品種についても順次サンプル出荷を始め、2011年第4四半期までにほとんどの品種の量産を開始する計画である。

図5 Los Angelesでラインアップする2つのシリーズ 低消費電力シリーズと高速動作シリーズの特徴をまとめた。出典:SiliconBlue Technologies

次期品種の「先」も計画

 SiliconBlueは、今回発表した40nm世代のLos Angelesを基に、集積規模を最大2万4000個まで増やすとともに、MIPI(Mobile Industry Processor Interface)の物理層回路をはじめとした各種のインタフェースをハードウェアマクロとして集積した製品群「San Francisco(サンフランシスコ)」も用意しており、2012年に発売する予定である。

 さらに、28nm世代の製造技術を適用する製品群も「Portland(ポートランド)」と呼んで開発を進めている。2013年に投入する計画だ。

図6 SiliconBlueのFPGAロードマップ 40nm世代品に続いて、28nm世代品を投入する計画である。出典:SiliconBlue Technologies

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