D級オーディオシステムにおいて、通常のシリコンベースのMOSFETに替えてGaN-FETを用いることにより、高音質、低歪(ひずみ)率、電力損失の低減などさまざまなメリットが得られる。
インターナショナル・レクティファイアー・ジャパン(IRジャパン)は、「TECHNO-FRONTIER 2011」(2011年7月20日〜22日、東京ビッグサイト)において、次世代パワーデバイスとして知られるGaN(窒化ガリウム)デバイスを用いたD級オーディオシステムのデモンストレーションを行った(図1)。
IRジャパンの親会社であるInternational Rectifierは、2008年から、「GaNpowIR」のブランドでGaNデバイスの製品展開を行っている。現在は、耐圧が30VのGaNデバイスの量産を開始するとともに、特定顧客と機器搭載における評価作業を進めている段階にある。
今回、IRジャパンがD級オーディオシステムのデモに用いたGaNデバイスは、耐圧が150VのGaN-FETである。通常のシリコンベースのMOSFETに替えてGaN-FETを用いることにより、「高音質、低歪(ひずみ)率、768kHzという高い変調周波数、電力損失の低減、オーディオシステムの基板面積の削減などのメリットが得られる」(IRジャパン)という。
同社は、D級オーディオシステム向けの製品として、コントローラICとMOSFETを販売している。今回デモに用いた中耐圧のGaN-FETは、既存のD級オーディオシステム向けMOSFETと比べて高性能ではあるものの価格も高い。このため、当初は、高級オーディオシステム向けの提案活動が中心になるとみられる。
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