アルプス電気が開発したRFモーションセンサーを使えば、人体のわずかな動きを検出できる。空間に放射した電磁波と、対象物で反射して戻ってきた電磁波との位相差を測定することで、対象物の動きを検出する。
アルプス電気は、人体のわずかな動きを検出する「RFモーションセンサー」を開発し、エレクトロニクスの総合展示会「CEATEC JAPAN 2011」(2011年10月4日〜8日に幕張メッセで開催)でこれを使ったデモを披露した。
RFモーションセンサーの仕組みは、空間に放射した電磁波と、対象物で反射して戻ってきた電磁波との位相差を測定することで、対象物の動きを検出するというもの(関連記事)。静止している対象物からの反射は、取得した信号波形の時間的な差分をとることで相殺できる。これに対して、対象物が動いているときは、その時々で位置が変化するため、時間的な差分を除去した後も信号は相殺されず、有意な情報が残る。
例えば、RFモーションセンサーを胸に置くと胸の動きを検出できるため、間接的に心拍変動をモニタリングできる。同社は、睡眠時の見守りやヘルスケア、防犯といった用途を想定しており、「簡易的に心拍を測定したいといった用途を開拓したい」(同社)という。
単純に位相差を検出する仕組みだと、アンテナ(RFモーションセンサー)から対象物の距離に応じて検出感度が変化し、特定の距離では検出感度が著しく劣化する「ヌル点」が生まれてしまう。これに対しては、「RFモーションセンサーと対象物を接触させて使う用途ではヌル点の問題は回避できるだろう。今後は、さまざまな用途を視野に入れ、検出感度を一定に保つ開発を進める」(同社)という。
電磁波を使ったモーションセンシング技術は、がれきや土に埋もれてしまった生存者を探索するといった用途に実用化されている。アルプス電気のRFモーションセンサーは、2.4GHz帯の汎用部品を使って構成しており、既存システムに比べて安価であることが特徴だという。センサーの寸法も、15mm×12mmと小さい。同社の標準アンテナを使ったときの検出可能距離は最大2m程度、検知角度は90度である。
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