「業績が回復に向かっている」とするGLOBALFOUNDRIESだが、多くの課題を抱えているとみられている。28nmから20nmへのプロセス移行にかかわる問題に加え、同社に大きな影を落としているのが、AMDとの関係だ。
GLOBALFOUNDRIESのCEO(最高経営責任者)を務めるAjit Manocha氏は、「2011年第4四半期における当社の業績は好調だった。2011年は苦難に満ちた年であったが、回復の兆しが見えている」と語った。
同社は2011年の売上高を明らかにしていないが、AMD(Advanced Micro Devices)のチップの量産に課題が多かったことや、ウエハー生産に関して厳しい契約を締結していたことなどから、金融アナリストは「『2010年の売上高である35億米ドルに対して20%の増加を目指す』としていた当初の目標は達成できなかったのではないか」とみている。
Manocha氏によると、ドイツのドレスデンにあるGLOBALFOUNDRIESの製造施設「Fab 1」で、32nm/28nmプロセスのウエハーの生産を続けるという。また、14nmプロセスについても準備を進めている段階だとしている。
一部では、「GLOBALFOUNDRIESは、2011年に高誘電率膜/金属ゲート(HKMG:High-k/Metal Gate)プロセスを用いたウエハーをわずか数千枚程度しか出荷できなかった。同社には競争力が欠けている」とも言われた。Manocha氏は、EE Times誌のインタビューの中でこれを否定し、実際は70万枚以上を出荷したと主張した。同氏は、「ゲートファースト方式を採用したHKMGプロセスはうまくいかないとの見方が大半だった。だが、当社は、その考えが誤りだったことを証明したのではないだろうか」と述べた。
しかし、Manocha氏の自信とは裏腹に、アナリストの多くは今でも、HKMGの採用が本当に正しい選択だったのかを疑問視している。ゲートファースト方式のHKMGに課題が多いことは、かねてから指摘されていた。実際に、AMDは2011年、APU(Accelerated Processing Unit)「AMD Aシリーズ(Llano)」の出荷に遅れが生じたことによって、数千万米ドル規模の損失を計上している。
ゲートファースト方式のHKMGは、洗練された技術でありながら、量産対応が極めて困難であることが実証されている。このためGLOBALFOUNDRIESは、IntelやTSMCに追随する形で、ゲートラスト方式のHKMG 20nmプロセス技術への移行を余儀なくされる可能性もある。
Manocha氏は、40nmから32nmへの微細化が極めて困難だったことを認めている。また、HKMG 28nmプロセスから20nmへの移行は、さらに大きな問題を抱えているとしている。
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