ディスプレイ市場ではLCDからOLEDへの移行が急速に進んでいる。Samsungは、競争力を維持するために、LCD事業のスピンオフを決断した。
Samsung Electronicsの取締役会は、同社の液晶ディスプレイ(LCD)事業をスピンオフする計画を明らかにした。2012年3月16日に開催する株主総会で、同計画について株主の承認を得る予定だという。
Samsungは、2012年4月1日付けでLCD事業を完全子会社化した上で、Samsung Mobile DisplayやS-LCDとの統合を含めた、さまざまな再建策を検討する考えだ。
今後は、LCD事業を特定分野向けに絞る一方で、有機ELディスプレイ(OLED)事業では拡大する民生機器向けの需要に対応していく計画だという。
OLEDは、バックライトが不要な発光型ディスプレイで、LCDに比べて視野角が広く、LCDよりも薄型化/軽量化できるといった利点を持つ。ただし、最近までは、大型ディスプレイにおけるコスト効率と寿命の面から、OLEDよりもLCDが市場の優位性を保持していた。
Samsungは、発表資料の中で「ディスプレイ市場は現在、OLEDパネルへと急速に移行しており、OLEDがLCDに代わって主流になる日も近いと思われる。このようにディスプレイ業界の構造が変化する中で、ディスプレイ事業における競争力を強化するには、事業再編をはじめとする変化と革新に富んだ策が必要だ」と述べている。
同社は、LCD事業のスピンオフによる影響を受ける従業員の数については明らかにしていないが、原則として、同事業に関連する全従業員と従業員への退職金を含めた法的責任を新しく設立する子会社に移す方針だという。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.