EPIAのリポートによれば、ドイツの太陽光発電の導入はドイツ政府の計画通りに進みそうだ(図4)。特段の政策支援がない場合の中位予測でも、2015年までに達成すべき政策目標(累積導入量)を超えるからだ。
EPIAの予想で注意が必要なのは、ドイツの導入量が既にピークを過ぎているという点だ。政策支援があった場合でも、過去最高となる2011年の新規導入量7.5GW(7485MW)を超えるのは2012年単年(8GW)だけだ。これはドイツが太陽電池の輸出先としては魅力的ではなくなるということを意味する。日本の国内企業の欧州に対する輸出額が減り続けているという統計は、ドイツ市場の将来予測とも合致する(関連記事:「明暗分かれる太陽光発電――住宅用は1.4倍に成長、輸出は悪化が続く」、記事本文)*3)。
*3) ドイツだけでなく、欧州市場全体の新規導入量をEPIAが予測した数値も似たような傾向を示している。中位予測では2011年の21.9GWに対して、2012年は9.4GWに落ち込み、2016年に至っても10.3GWにすぎない。政策支援があった場合でも、2012年に21.6GW、2013年に16.6GWと落ち込む。その後回復を見せるが、2011年の水準を超えるのはようやく2016年(24.8GW)だ。
ドイツの太陽光発電市場の構造は日本市場とは全く異なっている。日本市場はこれまで住宅の屋根に設置する太陽光発電システムが市場を引っ張ってきた。2011年度、国内に出荷された1.4GWのうち、86%(1.2GW)が住宅用だ。この傾向はこれまでも一貫している。
一方、ドイツ市場では、住宅用途がわずか1割にすぎない(図A-1)。市場を引っ張っているのは企業や工場の屋根などを含む商工業用途(6割)と地上設置用途(3割)だ。この傾向は累積設置量を見ても変わらない。
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