2013年に20nm世代のFinFETプロセスの適用を予定する半導体ファウンドリ専業のGLOBALFOUNDRIESが驚くべき計画を発表した。わずか1年後の2014年に、14nmプロセスを実現するという。市場調査会社からは、「新世代プロセスへの移行を2年連続で実現した事例は、これまで1社もない」という指摘も聞こえてくる。
半導体ファウンドリ専業のGLOBALFOUNDRIESは2012年9月20日(米国時間)、「14nm世代のプロセス技術による3次元(3D)構造のFinFETトランジスタ『14nm XMテクノロジー』を2014年に導入する」という驚くべき計画を発表した。同社は、2013年に20nm世代のFinFETプロセスの適用を予定しており、そのわずか1年後に14nmプロセスを実現することになる。
同社によると14nm XMテクノロジーは、14nmクラスのFinFETと、低消費電力のチップに向けた同社の20nmプロセス技術とを組み合わせることで実現したという。同社の幹部は、「14nm XMテクノロジーは、48nmのフィン間隔(ピッチ)を実現しており、それはIntelが14nm世代で適用する3次元ゲート(Tri-Gate)構造トランジスタ技術に匹敵するという。また、この他の加工寸法(feature size)に関しても、Intelが14nmプロセスで提供する技術と同じレベルを実現した」と述べている。
GLOBALFOUNDRIESは、半導体プロセス技術開発のロードマップを加速させることにより、他のファウンドリ専業のサプライヤーに対して技術面で確実に優位に立つことになるだろう。TSMCやUMCは、それぞれ20nm世代のプロセス技術を適用したFinFETを導入する計画を発表しているが、実現のメドとしてはUMCが2014年後半であり、TSMCに至ってはもう少し遅くなる見込みだ。
GLOBALFOUNDRIESの幹部は、「ロードマップを加速させることによって、プロセス技術におけるIntelの優位性に対抗することが可能だ」と述べている。Intelは2012年初めに、22nm世代の3次元ゲート構造のトランジスタ技術を適用した生産を開始している。
GLOBALFOUNDRIESでワールドワイドマーケティング&セールス担当エグゼクティブバイスプレジデントを務めるMike Noonan氏は、「当社がロードマップを加速させているのは、14nm世代におけるIntelの先行に歯止めをかけるためだ。Intelとの競争が可能なパワーとパフォーマンスを顧客に提供することを目指している」と述べている。
FinFETとは、3次元の二重ゲートトランジスタである。さまざまな企業や大学が過去10年以上にわたって研究に取り組んできた。FinFETは、既存のトランジスタよりも消費電力量が少ない。GLOBALFOUNDRIESによると、14nm XMテクノロジーのFinFETを使えば、既存の平面型トランジスタを用いる場合に比べて機器の電池寿命を40〜60%改善できるという。
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