スマートフォンの新しい潮流として、「クアッドコアプロセッサ」と「LTEモデム」がある。2013年2月25〜28日にスペインで開催された「Mobile World Congress」では、こうしたトレンドを意識したスマートフォン向けICが数多く登場した。
スペインのバルセロナで開催された「Mobile World Congress 2013」(2013年2月25〜28日)に合わせて、新しい2つの“必須機能”を搭載したスマートフォン用ICの発表が相次いだ。その必須機能とは、「クアッドコアプロセッサ」と「LTEモデム」である。
もちろん、全てのクアッドコアプロセッサが同じレベルの性能を持っているわけではないし、LTEモデムもそれぞれ持ち味が異なる。また、モデムチップは、通信キャリアの認証プロセスにおいてもそれぞれ異なる段階にある。チップベンダーは、デザインウィンを求める前にこの“認証プロセス”というハードルを乗り越えなくてはならない。
Qualcommは、2013年1月に開催された「2013 International CES」で、携帯機器向けプロセッサ「Snapdragon 600」と「Snapdragon 800」を発表した。また、Broadcomは2013年2月に、「業界最小」(同社)とするLTE-Advanced対応のモデムチップを発表している。これらの2社に加え、NVIDIAやMarvell Technologyも、携帯電話向けのプロセッサ/モデム市場の注目すべきプレイヤーだ。
NVIDIAは2013年2月に、クアッドコアプロセッサを集積したSoC「Tegra 4」シリーズの新製品として「Tegra 4i」を発表した。Tegra 4iは、アプリケーションプロセッサとLTE対応モデムを統合したものだ。ARMの「Cortex-A9」をベースにした「Cortex-A9 r4」を5コア搭載する(動作周波数は2.3GHz)。さらに、60個のGPUコアと、LTE対応モデム「i500」も搭載している。
米国の市場調査会社であるForward Conceptsでプレジデントを務めるWill Strauss氏は、Tegra 4iに高度な機能が数多く統合されていることから、同製品を「驚くほど素晴らしい製品」と評価した。
NVIDIAのシニアバイスプレジデントであるPhillip Carmack氏は、同社のWebサイトにある自身のブログの中で、「Tegra 4iは、スマートフォン市場にスーパーフォン(最先端のスマートフォン)の処理性能をもらたす。このような製品は他に存在しないだろう」と述べた。
おそらく、Carmack氏の言葉にはそれ以上の意味があると思われる。Tegra 4iは、明らかに、ライバルであるQualcommの製品を意識したものだ。NVIDIAの広報担当者は、「Tegra 4iは、最も性能が近い競合製品であるQualcommのSnapdragon 800に比べて、サイズを半分ながらも処理速度は速い」と主張した。これが本当なら、Tegra 4iは新たな基準を打ち立てたことになる。
一方、Marvellは2013年2月、ARMの「Cortex-A7」をベースにしたプラットフォームのLTE対応版を発表している。Tegra 4iに比べると地味な仕様ではあるが、Marvellは、現場で実証済みの5つの規格(LTE TDD、FDD、HSPA+、TD-HSPA+、EDGE)に対応する「業界で最も高度なモデムソリューション」(同社)として強くアピールしている。
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