ここに、私は、「英語に愛されないエンジニア」の反攻を提案します。
自分の会社と相手の会社の「空気」を読んだ上で、協業ビジネスに至るモチベーションが、どこにも、誰にもない、と判断しても、そこで腐る必要はないのです。
これは、めったにないチャンスと考えるべきです。
あなたの同僚が製品納期に血眼になっている間に、あなたは、その海外企業の最新技術を取得し、師匠と呼べる外国のエンジニアと懇意になり、その方とコミュニケーションを取る機会を得て、ついでに「TOEIC教」などでは得られない語学習得ができ、そして自分を磨き、あわよくば自分を売り込む絶好の機会を得られるのです。
特に、このリアルに充実した、英語(でのメール、打ち合わせなど)を使った真剣勝負の日々は、あなたを「英語に愛される人間」に変えることはできないまでも、「英語を怖がらない人間」に変えることができます。
第7回でお話した「――私が悪いのではない。私を理解することなく、私の性能を超えるコマンド(英語)を入力する(使う)あなたが悪い」という開き直りの境地に至れることは、この私が保証します。
また、個人的には、海外のスペシャルなエンジニアからアドバイスをもらいながら、前から試してみたかった回路やプログラムを作ることができるかもしれませんし、完全に仕事を離れて考えるのであれば、タダで海外旅行ができ、観光地を巡ることができる上に、珍しいご飯が食べられます。
そして、ちょっと羽目を外しても、それをとがめる上司もチクる同僚もいないという、パラダイスがそこにはあります。
「激務」と「雑務」で、最新技術を勉強する時間も個人的な自由時間もまったく捻出できないエンジニアの世界にあって、これは本当に得難いチャンスです。
エンジニアとして、もう一つ二つ抜きん出るためには、会社が命じる通りのことをやっているだけでは、足りないと思います。
私が作成して公開しているフリーの通信ソフトウェア開発や、特許法の勉強の多くは、この「海外出張」に関連する時間のスキマ時間を使って行ったものです。このような、自分の裁量で使える時間と人脈を使って開発したソフトウェア技術や、特許法の知識が、その後のエンジニアとしての私をガッチリと支え続けてくれていると信じています。
英語に愛されていないのにもかかわらず、海外で闘うことを命令された上に、単なる「広告塔」にまでおとされたエンジニアにとって、組織へのこの程度の反逆は、十分に許容される範囲であると考えます。
以前、「―番外編―:若きエンジニアへのエール〜入社後5年間を生き残る、戦略としての『誠実』」でもお話しましたが、エンジニアというのは、技術や勉強で遊んで、自分で自分を幸せにできるというとても珍しい人種なのですから、このような時間を使って、自分を楽しませていただきたいのです。
私の経験から申し上げますと、このような技術や勉強は、おおむね、その後の自分の業務に役立つものになり、ひいては会社の利益にもつながることになります。
では、今回の内容をまとめます。
次回の内容は、予定では「質疑応答・打ち合わせ編」となっているのですが、前回の「プレゼンテーション(表向き)編」で、すでにお話してしまった感がありますので、ちょっと考え中です。
何が出てくるか私にも分かりませんが、お楽しみに。
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