「TECHNO-FRONTIER 2013」(2013年7月17〜19日、東京ビッグサイト)では、GaN/SiCを用いた次世代パワー半導体製品の展示が相次いだ。各社のGaNデバイス、SiCデバイスの展示を紹介する。
次世代パワー半導体として注目を集めるGaN(ガリウムナイトライド/窒化ガリウム)とSiC(シリコンカーバイト/炭化ケイ素)という2つの化合物半導体材料。GaNは、シリコンやSiCに比べて高速スイッチングが行え、大口径ウエハーによる生産がSiCに比べて容易などの特徴を持ち、主に1200〜600V以下のこれまでパワーMOSFETが用いられてきた用途での活用が見込まれる。一方のSiCは、600〜1200V以上の高電圧、大容量の電力を低損失に扱えるという利点などから、IGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)を置き換えるデバイスと目されている。
メカトロニクス/エレクトロニクス関連の最新の要素技術が一堂に集結する「TECHNO-FRONTIER 2013」(2013年7月17〜19日、東京ビッグサイト)でも、GaN/SiCを用いた製品の展示が相次いだ。特に、前年のTECHNO-FRONTIER以上に展示が目立ったのがGaNを用いた製品だ。
日本インターは業務提携を結ぶ米国半導体メーカーのTransphorm製GaNトランジスタ(型番:TPH3006PS)を出品した。耐圧600V、定格電流16AのGaNトランジスタで、ゲート電圧がゼロのときにトランジスタに電流が流れない「ノーマリオフ」動作を実現しているという。ブースでは、GaNトランジスタを用いたLLCコンバータの動作デモを実施した。DC390V入力でDC12Vを出力するシステムで、GaNトランジスタを200kHzでスイッチングさせ、97%を上回る効率を達成していた。日本インターは、TransphormとGaNパワーデバイスの前工程における生産受託契約も締結し、既にTransphormが量産しているGaNダイオードを含め日本インターのつくば事業所8インチウエハーラインで製造する予定。説明員によると「現在、設備導入などを行っており、できるだけ早く生産を開始したい」とし、世界初の8インチウエハーによるGaNデバイス製造を目指している。
富士通セミコンダクターは、TECHNO-FRONTIER 2013に先駆けてサンプル出荷開始を発表した150V耐圧GaNトランジスタの他、耐圧600V品、30V品といった開発中の製品を参考出品した。耐圧600VGaNトランジスタは、カスコード型でドレイン電流20A、オン抵抗92mΩ。AC100V入力、DC380V出力のPFC回路で用いた場合、1MHzという高速スイッチングを行っても、出力200W時で約83%、出力400W時であれば、85%を上回る変換効率を実現できるという。さらに、スイッチング周波数を680kHzに落とせば、300-500W出力時で90%に迫る高い変換効率を実現できるとした。電源回路を小型化できる高速スイッチング時でも高い効率を維持できるGaNトランジスタの利点を生かして、複数のGaNトランジスタを位相をずらしてスイッチングさせ、リップル電流などのノイズを抑制するインターリーブ方式のPFC回路などでの応用を提案した。
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