ルネサス エレクトロニクスは車載情報機器向けSoC「R-Car」の第2世代シリーズのミッドレンジ向け製品「R-Car M2」を発表した。同SoCは、パートナーとの連携を図りながら、ソフトウェアやツール類と組み合わせた提案を行い拡販する方針。現状、「ナビゲーション向けSoCで世界シェア75%」(同社)というポジションの維持を狙う。
ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)は2013年9月26日、東京都内で会見を行い車載情報機器向けSoC(System on Chip)の「R-Car」の第2世代シリーズのミッドレンジ向け製品「R-Car M2」を発表した。2013年3月にサンプル出荷したハイエンド製品「R-Car H2」(関連記事:「自動車分野は中核事業」、ルネサスが9コア搭載の車載情報機器向けSoCを発表)と共通のソフトウェアを使用できるなどの特長を持つ。日本、欧米の先進国向け自動車で今後、搭載される見込みであるナビゲーション機能やオーディオ機能、車内空調制御機能を集積した「統合コックピット」向け用途をターゲットにする。同日からサンプル出荷を開始し、量産は2015年6月からを予定し、2016年6月には月産50万個規模での量産を目指す。
経営再建中にあるルネサスは、車載向けSoCビジネスを含め、2013年3月に大幅な組織変更を行い、事業方針も変えつつある(関連記事:ルネサスが経営陣を刷新、新社長は震災からの早期復旧で活躍した鶴丸哲哉氏)。SoCビジネス、マイコンビジネス、技術開発を担当する第一事業本部の本部長を務める執行役員の大村隆司氏は会見で、「組織をシュリンクし、意思決定速度を速めた。同時に、これまでのマイコン、SoCといったデバイスの“プロダクト・メーカー”から、最適なソリューションを提供する“プラットフォーム・プロバイダー”を目指す事業方針を打ち出している。プラットフォームとは、デバイス上に搭載するソフトウェアなどをサードパーティーなどからなるエコシステムで提供できる体制があることを意味する。車載情報機器分野は、(エコシステムが構築された)“プラットフォーム・ソリューション”を提供し、市場をリードしていく分野として位置付けている」と語る。
今回発表したR-Car M2でも、プラットフォーム・ソリューションを前面に打ち出す。会見でも、これまでとは違いデバイスとしての特長よりも、“R-Car M2で、できること”に主眼を置いた説明を展開した。
R-Car M2がターゲットにするのは、ナビゲーション機能、AV/ラジオ機能、エアコンなど基本的な車両情報表示を一元的に扱い、表示する統合コックピットだ。量産を始める2015年以降を見据え、クラウドにある天候、路面状況などに即したナビゲーション機能、Webコンテンツによるインタラクティブな情報提供、ヘッドアップディスプレイなどのマルチディスプレイ対応といった機能にも対応できる性能を持たせた。
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