東京エレクトロン デバイスは、「Zynq-7000 All Programmable SoCセミナ2013」を開催した。会場内ではXilinx製ICチップ「Zynq-7000 All Programmable SoC」に関連した技術講演に加えて、パートナー企業がZynq-7000 All Programmable SoCを応用したハイビジョン映像の画像処理システムや開発支援ツールなどのデモ展示を行った。
東京エレクトロン デバイスは2013年10月18日、「Zynq-7000 All Programmable SoCセミナ2013」を東京都内で開催した。会場内ではXilinx製ICチップ「Zynq-7000 All Programmable SoC」に関連した技術講演に加えて、パートナー企業がZynq-7000 All Programmable SoCを応用したハイビジョン映像の画像処理システムや、関連する開発支援ツールなどのデモ展示を行った。
Zynq-7000 All Programmable SoCは、高性能プロセッサとFPGAの機能を1チップに集積した製品である。プロセッシングシステム(PS)部は、「ARM Cortex-A9 MP Core」がデュアルコアで構成されており、NEON拡張機能にも対応している。プログラマブルロジック(PL)部は、DSPやRAM、I/Oなどとして再構成することが可能だ。また、画像処理用をはじめ、開発済みのさまざまなIPコアを再利用することもできる。このようなZynq-7000 All Programmable SoCの特長を生かして、多くのパートナー企業が複雑で高度な画像処理を高速で行うことができるシステム向けの基盤技術を提供している。
例えば、日立アドバンストデジタルが提供する「全周囲監視プラットフォーム」はその1つだ。Xilinx製の評価ボード「ZC706」に、日立アドバンストデジタルが開発したハイビジョンカメラの入力インタフェース用ボードを拡張すれば、最大8台のハイビジョンカメラを接続して、同時に映像を取り込むことができる。
全周囲監視プラットフォームの特長は、映像のひずみ補正や合成処理するIPを自社開発し、Zynq-7000 All Programmable SoC のPL部に実装している点だ。説明員は、「これまで複数の異なるカメラで撮影した画像を合成した場合、境界部分にある物体や人物が、合成映像では消えてなくなっていた。自社開発のIPを使うことで、境界部分に映っている物体や人物が合成映像にも忠実に映っている」という。さらに、ARMコア部で画像認識などの処理を行っているが、低層関数部をハードウェア化することで画像認識の処理も、ARMコアのみで処理する場合に比べて、さらに高速化することができる。また、「ハイビジョン映像を扱えるため、高所に設置したカメラからも物体や人物の鮮明な映像を得ることができる」のも特長という。
説明員は、「ハイビジョンカメラがまだ高価なこともあり、当面は住宅など建物の周囲監視やトラック、建機など大型車両の周囲監視などに向けるが、原理的には乗用車などにも適用することができる」と話す。今後は、評価ボードとカメラの入力インタエース用ボードを、現行サイズの1/5以下に小型化し2014年度より供給する計画だ。SSD(Solid State Drive)を接続できる拡張ボードも開発中である。さらに「将来は自動運転を支える監視モジュールとしたい。そのために各種センサーと組み合わせた機能モジュールの開発を計画している」(説明員)と話す。
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