リニアテクノロジーの創業者で会長を務めるロバート H.スワンソン氏がこのほど来日し、EE Times Japanのインタビューに応じた。民生機器向けビジネスに「将来はない」と自動車、産業機器重視の事業戦略を選択し、事業成長の持続を実現するスワンソン氏に、事業戦略やリニアテクノロジーの強さの理由などを聞いた。
リニアテクノロジーは、高性能アナログ半導体に特化する事業戦略を創業以来、30年以上貫く半導体メーカーであり、業界屈指の収益率を誇る。そのリニアテクノロジーの創業者で会長を務めるロバート H.スワンソン氏がこのほど来日した。スワンソン氏は2000年代半ばに、それまで一定の売り上げ比率があった民生機器向けビジネスに「将来はない」とし、アナログ半導体需要の成長が見込める自動車、産業機器分野に注力することを決定。その後、発生する民生機器市場の世界的不振の影響もほとんど受けることなく、2008〜2009年のリーマンショックも乗り越え、ターゲットとする自動車、産業機器分野で着実にビジネスを成長させている。
来日したスワンソン氏に、自動車、産業機器向けビジネスの進捗(しんちょく)や今後の事業方針、リニアテクノロジーの強さの理由などについて聞いた。
EE Times Jpan(以下、EETJ) 今回の来日の目的は。
スワンソン氏 10年ほど前から、第1四半期決算発表時の取締役会は、シリコンバレーの本社ではなく、工場など各拠点に赴き、ボードメンバーが現地を視察し、各拠点の人と接しながら実施することにしている。当初は、各工場を回り、次にデザインセンター、そして近年は、セールスオフィスで開催し、今年は日本法人での実施になった。
EETJ 日本での取締役会を実施した感想は。
スワンソン氏 毎回、各拠点で行う取締役会では、その現地拠点のことに関して詳細な報告が行われる。今回も日本でのビジネスの報告を受けて、日本法人が成功している理由を各ボードメンバーが理解したので、今後の事業に生かしていこうと考えている。
EETJ 日本での成功とは何か。
スワンソン氏 日本は、われわれにとって最も成功している地域の1つだ。われわれは、7〜8年前に大きく事業方針を変えた。“民生機器に将来はない”と判断して、アナログ半導体需要の拡大が見込まれる自動車と産業機器の2分野に注力してきた。この自動車と産業機器という2分野が日本に両方とも存在し、共に成功している。他の地域でも、自動車向け、産業機器向けのビジネスは伸びているが、両方で成功しているという地域は、まれだ。特に、自動車向け売上高比率は、全社では18%(2013年6月期実績)だが、日本法人は42%と2倍だ。
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