スパンションは、マイコン、アナログ半導体、フラッシュメモリという3つの主力製品分野ともに、自動車向け製品の強化を進めている。2014年1月15〜17日開催の「国際カーエレクトロニクス技術展」(東京ビッグサイト)でも、製品化前の参考出品も含めで各主力製品分野で新製品の提案を行った。
スパンションは、2013年に富士通のマイコン、アナログ半導体事業部門を統合。従来のNOR型を中心としたフラッシュメモリと、新たに加わったマイコン、アナログ半導体からなる事業構成で組み込み市場にフォーカスしている。その一貫として自動車向け製品、ソリューションの強化を行っている。
富士通時代から国内外で実績のある自動車向けマイコンは、富士通時代からの開発ロードマップを継承して新製品開発を実施。車載向けエレクトロニクス技術に関する展示会「国際カーエレクトロニクス技術展」(2014年1月15〜17日、東京ビッグサイト)で参考出品したモータ制御用マイコン「MB9D560」もその1つだ。
MB9D560シリーズは、電気自動車やハイブリッド車の主動力モータやジェネレータの制御に不可欠な回転角度センサー(レゾルバ)と接続するインタフェース回路(レゾルバ‐デジタル変換回路)を備える。ただ、レゾルバ対応インタフェース回路搭載モータ制御マイコンとしてはこれまでもMB91580シリーズ(2011年4月発表)を展開してきた。それに対しMB9D560シリーズは、レゾルバ対応インタフェース回路などモータ制御回路を2ユニット搭載し、2つのモータを1マイコンで制御できる点にある。
1モータ対応のMB91580シリーズに比べ、チップサイズはピン数の増加などもあり25mm角程度から30mm角程度に大きくなっているが、「2チップで構成するよりもシステムサイズは大きく縮小できる」(スパンション)とし、モータ制御ECUにサイズ/コストメリットを与えられる点が最大の特長だ。「サイズやコストとともに重視される消費電力も2チップ構成よりも確実に抑えられる。制御の対象となる主動力モータとジェネレータは、連携させる必要も多く、両モータをマイコン内で接続できる点も利点になるだろう」とする。
MB91560シリーズは、オリジナルCPUコア「FR」を搭載したMB91580シリーズよりもCPU性能も高め、よりハイエンドな性能、機能を提供できる見込みで「2014年春には製品化し提供をスタートしたい」(スパンション)としている。
マイコン製品では、主動力モータなどへ電力を供給するためのDC-DCコンバータの制御マイコン「MB91550」も国際カーエレクトロニクス技術展で紹介した。同DC-DCコンバータの制御デバイスでは、DSPを用いた専用ICが使用されるケースが多いがスパンションでは、マイコンベースでの制御を提案する。マイコンであれば、これまで専用ICと別に必要だったCANコントローラなどもマイコン内に搭載し、回路規模を削減できる。
「マイコンであれば、デバッグ/開発環境も充実し、開発しやすい。MB91550であれば、出力電圧をリアルタイムにグラフ表示するツールも提供している。このツールとともに、MB91560シリーズの回転数をグラフ表示するツールを合わせて使えば、回転数の変化で起こる電圧の揺れなども簡単に把握でき、開発時の利便性はより高くなる」とマイコンによるDC-DC制御の利点を訴えた。
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