パネリストのうち数人は、「半導体業界は成熟に伴って、複数の大規模半導体企業に統合されていくだろう」と予想している。BroadcomのMcGregor氏は、「今後、半導体業界が変化していくとは思うが、それが業界にとって悪いこととは限らない」と述べ、次のように説明している。
Broadcomは、半導体の新興企業の買収を行っている。1四半期に平均で1〜2社を買収し、過去10年間で買収した企業数は50社に上る。
1チップ当たりの開発コストは、28nmプロセスでは、数百万米ドルから3000万〜4000万米ドルに上昇している。ベンチャーキャピタルが投資するのに、適切な額とは言えない。再設計が必要になった場合、開発費はさらにかさむ。
かつて、セットトップボックスに搭載されるチップの数は増加傾向にあった。だが現在、セットトップボックスの中は空に近い状態になっている。ユーザーがボックスのサイズを重視するようになっているからだ。最近のセットトップボックスはチップが1個だけ搭載される場合が多く、そのほとんどに当社のロゴが付いている。
このように、チップの数は減ってきている。それに伴って、半導体企業の数も減少することになるだろう。新興企業の数は減ってほしくないが、企業の買収や合併は活発に行われている。
また、CypressのT.J. Rodgers氏は、次のような見解を示している。
Cypressは、米国の太陽光パネルメーカーで26億米ドルの新規株式公開(IPO)を実施したSunPowerのような新興企業を傘下に収めた。
大企業が傘下に新興企業を持つことは、組織の硬化を防ぐ作用がある。当社は、14社の新興企業を買収し、そのうち2社が大きな利益を生み出している。
チップの開発に多額のコストがかかるようになっているのは、周知の事実だ。当社のプログラマブルSoC「PSoC 3」の開発には、9500万米ドルを要した。これほど巨額の費用がかかるため、多くのベンチャーキャピタルにとって投資が難しくなっている。
ベンチャーキャピタルがファブへの投資から手を引いているのは事実だが、それは当然の成り行きだ。世界は、新しいファブを建設するよりも、GoogleやLinkedInのようなネットワーキングサービス企業を求めている。米国のベンチャーキャピタルがより利益を挙げられる分野に投資するのは、当然のことだ。
Cypressより前に創業していた米国の半導体企業59社のうち、現在残っているのは19社だけだ。業界が縮小しているのは、紛れもない事実である。
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