BroadcomのMcGregor氏を含む数人のパネリストは、「半導体の新興企業は現在もなお、資金提供を受けている。だが、そうした資金は、中国やインド、イスラエルなどから投資されているケースが増えている」と述べる。
McGregor氏は以下のように分析する。
半導体の新興企業に投資しているのは、米国のベンチャーキャピタルだけではない。ベンチャーキャピタルではない企業による、米国外からの投資も増えている。Broadcomは企業の部門買収も検討しているが、その対象は米国以外の企業に移行していくだろう。
当社は、過去数年間でイスラエルの企業10社を買収した。中国でも半導体企業の設立が増加しており、買収の機会が増えている。
半導体市場には今、かつてないほどのチャンスがある。1つのチップの開発に成功すれば、十億米ドルの利益を生み出せる可能性もある。これは、過去にはあり得なかったことだ。半導体業界は変わっていくと予想されるが、悪い変化ばかりではない。
CypressのRodgers氏も、McGregor氏の意見に同意している。
同氏は、「米国のROIが悪いままであれば、他の国で基盤の構築を始めるかもしれない。今後は、台湾や中国へのファブの移設だけでなく、ファブレス企業の移設も増えるだろう。これは、悪いことではない」と付け加えた。
中国やインドが話題に上がったことで、革新的な半導体技術を生み出す上での政府の役割についても活発な議論が交わされた。Tallwood Venture CapitalのDado Banatao氏は、米国政府を“世界最大のベンチャーキャピタル”と呼ぶ。
同氏は、「マイクロエレクトロニクスやインターネット、GPSは全て、政府によるプログラムから誕生したものだ。だが、私が実施した世論調査によると、政府から支援を受けた企業はほんの一握りにすぎないことが分かった」と述べている。
米国のベンチャーキャピタルであるKPCB(Kleiner Perkins Caufield Byers)のJohn Doerr氏は、Banatao氏とは違う角度から政府に関する見解を述べた。Doerr氏は、カリフォルニア州の厳しすぎる環境規制によって、GoogleのFTTH(家庭向け光データ回線)の整備計画が阻まれていることを挙げ、革新的な影響をもたらすケーブルサービスに関しては独占権を許可することも必要だと説いた。
同氏は、「米国の移民システムは、何十年も前に崩壊している。移民制度改革が順調に進められていれば、優秀なエンジニアが米国から流出するという事態は防げたはずだ」と付け加えた。
投資家のRappaport氏は、中立的な見解を示している。「政府は、改革の支援にもなるし、妨害にもなる。法的な壁は、起業家を奮起させる場合もあるからだ」(同氏)。
自由主義者として知られるRodgers氏は「この議論は、政府がその役割を十分に果たせていないと結論づけられるのではないだろうか。今回の議論で、半導体業界にとって政府は頼りにできる存在とは言えないということが分かった。むしろ、発展を阻む存在かもしれない」と述べている。
【翻訳:青山麻由子、滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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