シャープは、TNモード液晶ディスプレイの視野角を改善することができる「広視野角光学フィルム」のデモ展示を行った。新開発の光学フィルムを一般的なTNモード液晶ディスプレイの表面に貼り付けるだけで、視野角特性を改善することができる。
シャープは、薄型ディスプレイ関連の総合展示会「第24回ファインテックジャパン」(2014年4月16〜18日、東京ビッグサイト)において、TNモード液晶ディスプレイの視野角を改善することができる「広視野角光学フィルム」のデモ展示を行った。新開発の光学フィルムを一般的なTNモード液晶ディスプレイの表面に貼り付けるだけで、視野角特性を改善することができる。
新たに開発した広視野角光学フィルムの構造は、厚みが20μmの透明樹脂フィルムにネガレジストをコーティングして、円すい状の空気層を形成した。そして、表面側に直径が10〜20μmの「ブラックドット」を設けた。円すい状の空気層を設けたことで、液晶ディスプレイを透過してきた光がこの空気層で反射し、視野角を改善できる仕組みだ。
これまでも視野角を広げる散乱用フィルムはあったが、外光の影響を受け明環境下ではコントラストが大きく低下する課題があった。「広視野角光学フィルムはブラックドットを設けたことで、外光の影響を軽減し明環境下でのコントラスト低下を防止している」(説明員)と話す。
広視野角光学フィルムは、一般的な液晶ディスプレイでは、特に下方から見ると階調反転により大きな色変化が起き、表示された画像が見づらくなっていた。広視野角光学フィルムを液晶ディスプレイ表面に貼り付けると、一般的な液晶ディスプレイでも色変化を大幅に低減することができる。「新開発の広視野角光学フィルムは上下方向に加えて、左右方向にも視野角を広げる効果が期待できる。色変化が起きると肌の色が黄色みを増すが、それもより正しい色で表示される」(説明員)と話す。
液晶ディスプレイには、視野角を広げる技術としてIPS(In Plane Switching)方式やVA(Vertically Aligned)方式などが一般的に用いられている。これらの方式を採用して製造された液晶ディスプレイは、大画面の高精細テレビやスマートフォンなどに搭載されている。しかし、ディスプレイ自体のコストが割高となるため、安価なテレビやPCモニター、ローエンドのタブレット端末などでは、広視野角技術を使っていない一般的な液晶ディスプレイも数多く搭載されている。シャープが開発した広視野角光学フィルムは、一般的な液晶ディスプレイの表面に貼り付けるだけで、安価に視野角特性を改善することが可能となる。
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