GoProは2014年6月26日、IPO(株式公開)を果たした(時価総額は29億6000万米ドル)が、この上場はかなりの注目を集めた。ロイター通信(Reuters)が、米国の投資銀行であるDougherty & CoのアナリストCharlie Anderson氏の話として報じたところによると、「家電のブランドでこれほど市場を席巻したのは、Appleの『iPod』や『iPad』以来かもしれない」という。
そこまで称賛するかどうかはともかく、大手家電メーカーやカメラメーカーが作り出さなかった市場をGoProが切り開いたのは確かである。
それよりも、GoProは「何のためのウェアラブル機器なのか」を明確に示している点をたたえたい。
GoProの創立者であるNick Woodman氏は、2002年のオーストラリア旅行中に自分がサーフィンする光景を写真に撮りたいと思ったのがきっかけで起業したことで知られている。当時は、自分の動作をかなりの近距離で撮影できるような、アマチュア向けの“身に着けられる”カメラは一つもなかった。
ヘルメットや自転車、エクストリームスポーツ用品などに取り付けるのに適した小型デジタルカメラというアイデアは、Woodman氏の情熱だけから生まれたわけではない。多くのスポーツ愛好者も、スポーツでの自らの快挙を高画質で撮りたいと強く望んでいる。
だが、そもそもGoPro製のカメラはウェアラブル機器として開発されたわけではない。同社が主に目指したのは「自分の動作を近くから撮ること」であり、そのためには装着可能であることが不可欠な要素だった。
Android Wear対応機器のメーカーは、Woodman氏のような意欲や情熱が欠けている上、ウェアラブル機器の肝心な点を理解していないようだ。そのようなメーカーは「ウェアラブル市場に参入している」という事実のためにウェアラブル機器を開発している。スマート機器を身に着けるのはそれが必要だからなのか、それとも単にカッコいいからなのかなど見当もつかないはずだ。
GoProの成功により、将来的にウェアラブル機器市場を制する可能性のあるメーカーが明らかになった。
米国の市場調査会社であるEnvisioneering Groupでリサーチディレクタを務めるRichard Doherty氏は、「GoProがさまざまな製品を発表するたび、ソニーは多機能の高価格品を投入していた。Samsung Electronicsもアクションスポーツカメラの試作品を作っている。だが、われわれの知る限り、両社のアクションスポーツカメラは売れ筋にはならなかった」と分析した。
では、GoProは一体どのように成功したのだろうか。
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