ポニー電機は、「TECHNO-FRONTIER 2014」(テクノフロンティア/2014年7月23〜25日、東京ビッグサイト)で、マルチレベルインバータ向けにコア材などを最適化したリアクトルを出品した。従来よりも低コストでマルチレベルインバータの出力フィルタを構成できる。
ポニー電機は、「TECHNO-FRONTIER 2014」(テクノフロンティア/2014年7月23〜25日、東京ビッグサイト)で、マルチレベルインバータ向けにコア材などを最適化したリアクトルを出品した。「2〜3年前から、マルチレベルインバータの開発に取り組む顧客が増えつつある。リアクトルを小さく、安価にできるマルチレベルインバータの利点を十分に引き出せるリアクトルとして開発、製品化した」(説明員)。
マルチレベルインバータは、スイッチング素子からのパルス出力を3段階以上の電圧値で行うもので、3段階で行うものは3レベルインバータと呼ばれる。従来のインバータは、0Vと入力電圧値の2段階だったが、3レベルインバータでは0Vと入力電圧値とその中間の電圧値の3段階のパルスを出力する。例えば、2レベルでは、0Vと600Vのオンオフを繰り返す矩形波のパルスだったものが、3レベルでは、「0Vと300Vの矩形波」の上に「300Vと600V」の矩形波が乗る形になる。
マルチレベルは、2レベルより正弦波に近い波形で出力できるため、出力波形を正弦波にするためのLCフィルタを小型化できるというメリットを持つ。ポニー電機の説明員によると、「3レベルインバータでは、2レベルインバータで用いたリアクトルよりも1/3程度の小型サイズリアクトルをフィルタとして用いることができる」という。加えて、マルチレベルの場合、スイッチング素子1つ当たりの電圧変動幅が2レベルより小さく(3レベルであれば半分に)なることなどから、ノイズも抑えやすく、フィルタを簡素化できるといった利点を持つ。
ただ、ポニー電機によると、これまでのリアクトルの多くは2レベルインバータに向けた高周波対応コア材を用いたリアクトルしか存在せず、マルチレベルインバータではオーバースペックとなっていたという。そこで、ポニー電機では、マルチレベルインバータに適した周波数対応コア材のカスタム製造を材料メーカーに依頼。今回、そのコア材料を用いたリアクトルを製品化した。
製品化したマルチレベルインバータ用リアクトルは、3相用で、インダクタンス120μH。定格電流172Arms(50k〜60kW相当)。サイズは180×180×110mmとなっている。価格については非公表だが、「コア材に限っては従来の1/2程度の価格に抑えられているため、より安価にマルチレベルインバータを構築できるだろう」としている。
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