2014年8月1日、アジレント・テクノロジー(以下、アジレント)の電子計測部門がアジレントから分割され、電子計測専門会社「キーサイト・テクノロジー」(Keysight Technologies/以下、キーサイト)としてスタートを切った。「電子計測専業となることで、これまで以上に研究開発投資が行えるようになる。ぜひ、キーサイトに期待してほしい」というキーサイト・テクノロジー日本法人 社長の梅島正明氏に今後の事業展望などについて聞いた。
世界的な計測機器メーカーとして名高いアジレントの電子計測事業部門は2014年8月1日、アジレントから独立して「キーサイト・テクノロジー」(Keysight Technologies)として事業を開始した。
キーサイトの電子計測事業の歴史は、1939年のヒューレット・パッカード(HP)の創業までさかのぼる。今やコンピュータ関連機器メーカーとして著名なHPの創業事業だった電子計測事業は、1999年に「アジレント」として会社分割され、HPから独立。そして、その15年後にまた再び、会社分割によりキーサイトとして独立した。
なぜ、再び会社分割が必要だったのか、キーサイトとして目指す電子計測事業とはどのようなものなのか。前アジレント日本法人社長で、キーサイト日本法人の社長に就任した梅島正明氏に聞いた。
EE Times Japan(以下、EETJ) あらためて、会社分割に至った経緯をお教えください。
梅島氏 アジレントは、1999年時は電子計測事業が主力の企業だったが、近年、ライフサイエンス/化学分析機器事業(LDA事業)に注力し、電子計測事業の売り上げ規模を上回るような事業へと成長した。電子計測事業とLDA事業、それぞれが独立して事業を行えるような売り上げ、利益規模に達したため、会社を分割することになったということ。
LDA事業がこれまでのアジレントを引き継ぎ、電子計測事業は新会社 キーサイトを設立して事業を行うことになった。2014年11月上旬まで暫定的にキーサイトは新アジレントの子会社という形態となるが、2014年11月上旬以降は、両社は資本関係を持たない独立した企業となり、キーサイトは同時期に新規株式上場する予定だ。
EETJ これまでのアジレント電子計測部門とキーサイトで、変わることは何でしょうか。
梅島氏 顧客、取引先から見た場合には、社名、会社ロゴ以外はほとんど変わることはないだろう。原則、従来の電子計測部門の従業員はキーサイトに移っており、人の面で変更はない。販売代理店なども従来通りだ。
ただ、社内的には、大きく変わってくる部分もある。その1つが研究開発投資だ。
EETJ 研究開発投資はどのように変わるのでしょうか?
梅島氏 これまでのアジレントは、LDA事業を強化すべく、さまざまな事業買収を実施してきた。当然、事業買収に掛かる費用は大きく、電子計測事業によって生み出された利益もLDA事業強化に投資されてきた訳だ。
電子計測専業となることで、電子計測の研究開発に集中投資できるようになる。従来のアジレントと同様、売上高の10%をキーサイトでも研究開発に充てる方針であり、29億米ドルという電子計測事業の売上高(13年10月期実績)の10%を全て電子計測のための研究開発に投資できるようになる。
EETJ どの程度、研究開発投資は増えるのですか。
梅島氏 これまでのアジレントの研究開発投資を、LDA事業、電子計測事業とで明確に分けていた訳ではないので、明確な数字は分からない。ただし、電子計測事業向けの投資が電子計測事業の売上高29億米ドルに見合う研究開発投資2.9億米ドルに達していなかったのは確かであり、感覚的だが2.9億米ドルの半分にも達してなかったのではと思うほどだ。大幅に増えることは間違いない。
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