ベンチャーキャピタルは、半導体業界への投資に対して慎重な姿勢をみせているものの、半導体企業への年間投資額は回復の兆しがあるようだ。
ベンチャーキャピタルは、半導体業界への投資には依然として慎重な態度を示している。Global Semiconductor Alliance(GSA)が2014年8月に発表した「GSA Market Watch」によると、半導体業界への投資額は昨年も減少傾向が続いたという。ただし、回復の兆しも垣間見えるようだ。
同報告書によると、過去12カ月間に締結された半導体企業への投資契約数は38件で、投資額は5億5010万米ドルだったという。その前の12カ月間の投資額は、5億6380万米ドルだった。
ただし、2014年7月は、2014年6月から47.5%増となる1億620万米ドルが、中国のLEDメーカーLattice Powerと、英国のマイコンメーカーXMOSに投資された(関連記事:リアルなクモ型ロボットを制御する10米ドルマイコン「xCORE」)。2014年1月から7月にかけて、投資額は70.6%増加したという。
GSAのシニアアナリストで、今回発表されたGSA Market Watchの著者であるJennifer Alexander氏は、「投資額や投資契約数は2年前に比べると半減していて、それ以前と比べればさらに減少している。一方で、安定傾向にあり回復の兆しもみられる」と述べている。
同報告書によると、過去12カ月に締結されたファブレス/垂直統合型半導体メーカー(IDM:Integrated Device Manufacturer)の投資関連の契約数は、その前の12カ月と比べると11件減少しているが、半導体メーカーの契約数は4件増加した。また、公表されている契約1件当たりの平均額は、1280万米ドルから1670万米ドルに増加している。
Alexander氏は、「技術力の高い新興企業が増えていることから、投資家の関心は1年前よりもわずかながら高いようだ。さらに、成熟した市場でありながら堅調な収益増を公表する企業も増えており、半導体業界は勢いを取り戻しつつある」と述べている。
同氏は、「2014年末までこの傾向が続けば、半導体企業への年間投資額が過去数年間で初めて増加することになるだろう」と述べている。
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