マイコン市場が好調だ。2014年のマイコン売上高は過去最高に達するとみられている。中でも8ビットマイコンは、安価でソフトウェアもシンプルなことから、需要が爆発的に増加しているという。
マイコンの世界市場が、本格的な回復傾向にある。産業機器や自動車向け製品の売上高が回復しているためだ。このような傾向は、32ビットマイコン市場だけに限られているわけではない。
8ビットマイコン市場も同様に、驚異的な成長を遂げている。このため、サプライヤの中でも特にMicrochip Technologyが、直ちに生産量を増加させる必要に迫られている。同社のCOO(最高執行責任者)であるGanesh Moorthy氏は、最近行ったアナリストとのカンファレンスコールの中で、「当社はここ3年間で、革新的な新型8ビットマイコンを発表してきたが、これらの製品に対する需要が大幅に伸び、当社の生産能力の拡大スピードがそれに追い付いていないという状況にある」と述べている。
2014年第2四半期のマイコン市場は全体的に、予想を上回る成果を上げていて、今後数年間はその傾向が続くとみられている。米国の市場調査会社であるIC Insightsのリポートによると、2014年の世界のマイコン売上高は、前年比6%増となる161億米ドルに達し、過去最高を記録する見込みだという。さらに、2015年には7%増、2016年には9%増と伸び続けるとみられる。2014年の出荷数も堅調に伸び、前年比12%増となる181億個に達すると予測されている。
IC Insightsは以前の予測で、2014年の出荷数の成長率を3%増としていた。だが、ICカード向けマイコンの出荷数が急増していることから、今回上方修正に至ったという。ICカード向けマイコンは、世界のマイコン出荷数全体の約半分を占める。同社のリポートによると、2013年のICカード向けマイコン売上高は、市場調整や厳しい価格競争などのために前年比で12%減少したが、2014年には成長率19%で伸びる見込みだという。出荷数は、前年比20%増となる87億個に達するとみられている。
Renesas Electronics Americaで、マーケティング担当バイスプレジデントを務めるRitesh Tyagi氏は、「市場の見通しは極めて楽観的だ。さらに、需要を創出するための動きも活発化するとみている」と述べている。
Renesasは、モノのインターネット(IoT)向けアプリケーションの構築に着手したこともあり、同社にとって32ビットマイコンは、主要な成長分野となっている。またTyagi氏は、インターネットにつながる端末の需要が堅調であることや、アプリの分野が爆発的に伸びていることなども成長要因として挙げている。
同氏はEE Timesの取材に対し、「顧客メーカーは、マイコンのコアにそれほどこだわりを持たなくなっている。ビット数やコアではなく、コードを再利用できるかどうかや、統合しやすいかどうかなどが、そのマイコンを採用する判断基準になっている」と説明した。
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