IC Insightsのリポートによれば、32ビットマイコンは依然としてマイコン市場の“スイートスポット”で、8ビット/16ビットマイコンと同様のコスト競争力を持つほど低価格化が進んでいるという(関連記事:低価格市場に侵攻する32ビットプロセッサ)。32ビットマイコンの売上高は、2013年から2018年にかけて年成長率9.5%で伸び続け、2018年には110億米ドルに達するとみられている。
ただし、Tyagi氏によると、低価格かつ簡易なソフトウェアを好む設計者も多く、少ないピン数とメモリ容量を持つ8ビットマイコンへのニーズは高いという。「16ビットマイコン市場が縮小している中、8ビットマイコン市場は安定している。安価かつソフトウェアもシンプルなのが魅力的なようだ」(同氏)。
Microchipにとって8ビットマイコンは大きな収入源だ。最近も、プログラミングにC言語を使える8ビットマイコンコアをベースにした、新しい製品群を発表したばかりである。2014年4月には、自律的に動作することが可能な周辺モジュールを内蔵した8ビットマイコン「PIC16F170X/171X」ファミリを発表した(関連記事:自律動作の周辺モジュールを内蔵、マイクロチップの8ビットPICマイコン)。同社のCEOであるSteve Sanghi氏は、「これらの製品によって、8ビットマイコンの採用がさらに拡大している。ニーズも爆発的に増えている」と述べる。こうした傾向から、Microchipは製造工場の設備投資を1億2500万米ドルから1億7500万米ドルに引き上げた。これは過去10年間で最も多額になるという。
Atmelは、米コロラド州の工場で8ビットマイコンを製造している。稼働率は90%を越えているが、それでも8ビットマイコンの生産が追い付かないという。Atmelのマイコン事業部門でマーケティング担当バイスプレジデントを務めるPatrick Sullivan氏は、「コスト効率の高い8ビットマイコンが最適なアプリケーションや分野が、存在しているということだ」と述べている。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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