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DDR4の本格普及は始まったのか?メモリ/ストレージ技術 市場動向(1/2 ページ)

Intelのカンファレンス「IDF 2014」ではDDR4 DRAMに注目が集まっているようだ。DDR4の量産が本格的に始動し、まずはエンタープライズ分野から普及が進む見通しだという。

» 2014年09月11日 13時10分 公開
[Gary HilsonEE Times]

 米国カリフォルニア州サンフランシスコでは、Intelの開発者向け会議「Intel Developer Forum 2014(IDF 2014)」(2014年9月9〜11日)が開催中だ。そこでは、DDR4 DRAMが注目を集めている。

 米国の大手DRAMモジュールメーカーであるKingston Technologyは、米国ワシントン州で開催されたゲームイベント「PAX Prime 2014」(2014年8月29日〜9月1日)で、次世代DDR4メモリ「HyperX Predator」のデモを行い、既に出荷を始めている。同メモリは4枚組で計16Gバイト、動作電圧は1.2Vから、動作周波数は2133MHz〜3000MHzである。HyperX Predatorは、Intelの最新チップセット「Intel X99 Express」と「Haswell-E」プロセッサ向けに設計された。Kingston Technologyでシニア技術マネジャーを務めるMike Mohney氏によると、同メモリは、ゲーム愛好家などのハイエンドPCユーザーや、CADやビデオ編集アプリケーションに対応した高性能メモリを必要とする開発者向けの製品だという。

 HyperX PredatorはDDR3メモリと同じくフリップフロップ回路だが、従来のHyperXを上回る性能を備えることから、エンタープライズ分野を中心に普及が進むと予想される。HyperX Predatorは当初、クライアントデバイス向けに開発が開始されたが、サーバにも対応可能な性能を備える。Mohney氏は、「Intelは、2014年のコンピューティング市場の状況を正確に予測していた。特に、クラウドの需要の増加に伴って、データセンターが大きく成長するという予想は的中している。巨大なデータセンターでは、記憶容量の大きなメモリの需要が高まっている」と述べている。

DDR4の普及加速は?

 「DDR4の普及は、いつ加速するか」。これについては、これまでもさまざまな推測がなされてきた。Mohney氏によると、Kingston Technologyは2007年からDDR4に関するロードマップを用意しているという。「IntelやAMDに対して、当社は常にスケジュール通りに納品してきた。次に何が求められるのかを把握しているからできることだ」(同氏)。

 DDR4の利用は当面、コストを吸収できるエンタープライズ市場にとどまると予想される。2015年になれば価格が下がり、クライアントデバイスでの利用も進むとみられる。一方、DDR3は安定した価格で豊富に供給されている。

 Samsung ElectronicsやSK Hynixは、2011年前半にDDR4メモリの製造を開始している(関連記事:サムスン電子、DDR4メモリの量産を開始)。米国の電子部品関連標準化団体「JEDEC Solid State Technology Association」がDDR4 DRAM 規格を発表した2012年9月よりも前のことだ。また、Micron Technologyは2014年4月に、Intelの次世代プロセッサ「Xeon E5-2600 v3」に対応した、4GビットDRAMベースのDDR4モジュールの量産を開始すると発表している。転送速度は2133MT/s(mega transfer per second)を実現しているという。

Samsung Electronicsが量産を開始したDDR4メモリ

 Micron Technologyのエンタープライズコンピューティング部門でマーケティングディレクタを務めるGordon Patrick氏は、「DDR4はエンタープライズサーバに求められる以上の性能を備える。たとえ初期であっても、ノートPCやウルトラブックでの利用が主流になるとは考えにくい」と述べている。

 Micronは当面の間、DDR3とDDR4を同時にサポートしていく予定だという。同社は最近、最新の25nm世代のプロセス技術を適用した、モノリシック8GビットのDDR3 SDRAMコンポーネントを発表している。DDR4に移行する準備がまだ整っていない顧客をサポートできるよう、DDR3の性能を拡充したという。Patrick氏は、「今後は、8Gビットのモノリシックがスイートスポットになるだろう。このため企業にとっては、消費電力量や性能、全体的なコストなど、自社の要件に最も適した選択肢を選べるようになる」と述べている。

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