DDR3とDDR4は、今後しばらくの間共存すると考えられるが、その理由の1つとして挙げられるのが、両規格のアーキテクチャが著しく異なっているという点だ。
DDR4は、既存のDRAMとは大きく異なる。Samsung SemiconductorでDRAM市場戦略的マーケティング担当ディレクタを務めるSylvie Kadivar氏は、「JEDEC標準規格は、消費電力量の削減と性能の向上に焦点を当てているだけでなく、パッケージング技術に関するイノベーションも実現している」と述べる。
Samsungは2014年8月に、DRAMシリコン積層技術「3D TSV(シリコン貫通ビア:Through Silicon Via)」技術を採用した64GB DDR4 RDIMMモジュールの量産を開始したと発表している。この新型RDIMMは、36個のDDR4 DRAMチップを搭載する。これらのチップはそれぞれ、4つの4GビットDDR4 DRAMダイで構成され、Samsungの20nm世代のプロセス技術を適用するという。
DRAMを3D TSV技術でパッケージングする場合、メモリダイの厚みが数十マイクロメートルになるよう積み重ね、数百個もの微細な穴を開ける。そして、これらの穴に電極を通し、垂直に接続する。これにより、ワイヤボンディングによるパッケージ技術を適用した64GBモジュールと比べて、性能を約2倍に高め、消費電力量も半減させることが可能になるという。
同社はこの新型モジュールによって、エンタープライズサーバやクラウドベースのアプリケーションをサポートするとともに、データセンターからの要望にも対応していきたい考えだ。Kadivar氏は、「データセンターでは、インメモリコンピューティングや仮想化、クラウドコンピューティングなどの分野が成長していることを受けて、メモリフットプリントが増大し続けている。性能の向上と消費電力量の低減に対する要望がある限り、DDR4は今後も主導的な役割を担っていくことになるだろう」と述べている。
Micronと同様にSamsungも、今後しばらく、DDR3とDDR4の両方をサポートする予定だ。同氏は、「顧客企業は、自社のロードマップに基づき、両方の技術規格を利用していくだろう」と述べている。
【翻訳:滝本麻貴、田中留美、編集:EE Times Japan】
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